キーワード解説：

イリュージョン効果とは、補綴物に視覚的な錯覚を生むような形態・色調・構造を与え、その位置や形態を実際とは異なって見えるようにした状態をさす。支台歯の位置や排列の状態などにより、通常の歯冠形態の回復では支障をきたす場合の補綴的対応として用いられる。これらのうち、色調や構造にかかわるテクニックとしては、明度を高める（低める）ことで補綴物全体をより大きく（小さく）見せる方法、また切端の透明部分を根尖側方向に拡大（縮小）することで補綴物の長径を長く（短く）見せる方法、さらに補綴物の幅径を長く（短く）見せるために水平方向の隆起を強調する（強調しない）方法などがあげられる。また、形態にかかわるテクニックとしては、歯冠豊隆をコントロールすることで長径や幅径を拡大／縮小させたように見せる方法、また隣接面のカントゥアやエナメル質の厚みをコントロールすることで幅径を拡大／縮小させたように見せる方法などがある。