キーワード解説：

非う蝕性の表面歯質アパタイトの慢性的な損失を示した概念．歯質表面損失症候群(TSL)．咬耗・摩耗・酸蝕といったいわゆるtooth wearのほかに，咬合応力ひずみ(アブフラクション)による歯根露出も含まれ，最近ではスケーリング／ルートプレーニング，PMTC，漂白などの医療行為による医原性TSLも注目を集めている．そのなかでも，咬耗・摩耗・酸蝕に代表されるtooth wearは，象牙質知覚過敏とならび，う蝕・歯周病に次ぐ第３の歯科疾患として注目され，欧米では1990年代より臨床的研究が進展しつつある．しかし，わが国では，加齢にともなう生理的現象としての捉え方が強く，疾病としての認識度はあまり高くないのが現状であり，tooth wearに相当する適切な訳語すら見当たらない．