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神経性ショック

【読み】:しんけいせいしょっく
【英語】:neurogenic shock
【書籍】: ザ・クインテッセンス 2009年 06月号
【ページ】:180

キーワード解説:

「疼痛性ショック」「デンタルショック」などともよばれるが、厳密な意味でのショックではなく、脳貧血様発作、血管迷走神経反射ともよばれる気分不良。歯科治療中に起きる全身的偶発症のなかでもっとも発生頻度が高く、全体の8~9割を占める。
原因: 精神的ストレス(不安、緊張、恐怖感)と肉体的ストレス(痛み)により交感神経が緊張して血圧上昇、頻脈を起こす。生体はこれを正常に戻そうとして副交感神経がはたらいて血圧や脈拍を下げるが、このはたらきが過剰になればさらに血圧低下・徐脈にまで進んでショック状態となる。また口腔への痛み・刺激は、口腔領域の副交感神経である迷走神経を直接刺激して血圧低下・徐脈を引き起こす。
症状: 早い場合は局麻薬注射刺入直後から、通常は数分以内に発生する。迷走神経の緊張による徐脈と血圧低下が特徴。ほかに顔面蒼白・気分不良・嘔気・冷汗などの症状を起こす。意識を失うこともあるが一過性で、不可逆的ショックに移行することは稀である。
対処法: 水平位で両下肢を挙上(ショック体位)しておくと10分程度で回復する。真のアナフィラキシーショックではないので慌てなくてもよい。真のアナフィラキシーショックでは皮膚の蕁麻疹や紅斑、顔面や粘膜の浮腫をともなうので区別できる。
予防法: 十分なコミュニケーションによる精神的ストレス(不安、緊張、恐怖感)の軽減と、痛くない局所麻酔注射で、予防可能。