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フェニックス膿瘍

【読み】:ふぇにっくすのうよう
【英語】:phoenix abscess
【書籍】: 新装版 エンドに強くなる本
【ページ】:262

キーワード解説:

自覚症状のない歯の根管治療の直後に、急性炎症の症状が発現することがある。細菌感染などの外来病原的刺激の強さと、生体の抵抗性が平衡状態にある慢性炎症が、何かのきっかけによって一気に燃え盛る火のように激しい急性炎症に転化する。この状態を「不死鳥」に例えて「フェニックス膿瘍」と呼んでいる。この用語は歯科領域に限らず、医科領域でも用いられている。歯内治療において、フェニックス膿瘍とは、慢性化膿性根尖性歯周炎に罹患した歯の根管処置を行った直後に生じる急性化膿性炎の症状をいう。根管治療時に根管内の汚染された内容物を拡大・形成の機械的操作によって根尖孔外に誤って押し出した結果、根尖歯周組織に組織抵抗性を越える病原物質が送り込まれて均衡が崩れ、慢性炎症が急性炎症に転化する。もちろん、フェニックス膿瘍が宿主である患者の全身的、局所的抵抗力の低下で自然に発生することもあるが、慢性化膿性根尖性歯周炎を有する歯の歯内処置を行って発症することが多く、治療する根管の内容物の病原性を十分に注意して処置を行う必要がある。