キーワード解説：

義歯を装着している高齢者の50％以上が、義歯性口内炎・口角炎・ 外傷性潰瘍の義歯関連粘膜疾患に罹患しているといわれている。Martoriらはスペインのカタルーニャ地方の義歯を装着している高齢者を対象に、義歯関連の口腔粘膜疾患のリスク因子に関して多変量解析を行ったところ、義歯関連粘膜疾患のなかで多かったのは、口角炎（34％）、外傷性潰瘍（15％）、義歯性口内炎（14％）の３つで、そのうち１つでも義歯関連粘膜疾患に罹患している者は54％であった。具体的に口角炎は、年齢、無歯顎、口腔カンジタの存在、義歯安定性の不足と咬合高径の低下が関連していた。義歯性口内炎は、唾液の pHが低下していること、喫煙経験がないこと、定期的な砂糖摂取が関連していた。外傷性潰瘍は、吸収した顎堤に関連していた。少なくとも１つの粘膜疾患に罹患していることに関しては、低い咀嚼効率、老人ホームでの居住、口腔カンジタと義歯安定性の不足が関連していた。