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アンダー根管充填

【読み】
あんだーこんかんじゅうてん
【英語】
under filling of root canal
【書籍】
下野先生に聞いてみた [2]
【ページ】
10

キーワード解説

 アンダー根管充填とは、根管形成と充填がアンダー(充填材の不足)の場合、または、形成がオーバーで充填材がアピカルシートに一致しているかアンダーの場合である。
 アンダー根管充填では、(a)生活歯髄が残存する場合、(b)歯髄が失活している場合とで治癒形態が異なる。
(a)生活歯髄が残存する場合
 麻酔抜髄を行った後に根尖部に生活歯髄が残存すると、デンティンブリッジが形成される。根管充填材としてガッタパーチャを用いても、根尖部に生活歯髄が残っていれば、水酸化カルシウムまたはMTAを用いた生活歯髄切断法における治癒と同じである。
(b)歯髄が失活している場合
 感染根管の治療後にアンダー根管充填を行うと、根尖側根管内に空隙(死腔:dead space)が形成され、再汚染や感染の機会が多くなると考えられる。この空隙に細菌が残存して、壊死歯髄組織や炎症性滲出液を栄養分として増殖すれば、根尖性歯周炎(根尖病変)の再発を引き起こす。炎症を誘発する因子がなければ、空隙(死腔)は、根尖側から増殖した肉芽組織によって補填され、やがて線維化するので「根尖瘢痕」(apical scar)を形成する。