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びまん性硬化性骨髄炎(DSO)

【読み】
びまんせいこうかせいこつずいえん
【英語】
Diffuse Sclerosing Osteomyelitis
【書籍】
Quintessence DENTAL Implantology 2023年5号
【ページ】
130

キーワード解説

 びまん性硬化性骨髄炎(以下、DSO)は、膿の形成、瘻孔または病巣分離がないにもかかわらず、再発性の痛み、腫れ、開孔部を特徴とする難治性の骨の炎症性疾患である。エックス線写真では、固形骨膜反応または外部骨吸収をともなう硬化性病変と溶骨性病変が混在した形で現れる。
 DSOの病因については、微生物の刺激に対する免疫反応、筋肉の使い過ぎによる慢性骨膜炎、慢性再発性多巣性骨髄炎やSAPHO症候群など、さまざまな仮説が議論されている。注目したいのが、その病因が、耐性のある歯周/歯内療法の病状など、長年の慢性病歴や治療歴に関連している可能性があることである。歯髄から感染が歯周組織へと広がると歯槽骨炎や広範な顎骨炎へと進展し、骨髄炎に至った場合、感染やそれにともなう疼痛などの急性症状、抜歯後の治癒不全の原因となる。DSOは下顎体に多大な影響を及ぼすことが知られているものの、インプラントの残存に長期的な影響を与えるのかどうかは明らかになっていなかったが、症例の検証をとおして、重度のインプラント周囲炎の潜在的なリスク指標になる可能性があるとされた。
 インプラントの周りの骨組織は、生涯を通して代謝(改造)を繰り返しているが、基礎疾患に罹患し、骨の疾患(とくに骨髄炎などの炎症)を起こした後ではその代謝に大きな影響を与える。インプラント治療を計画する際には、骨髄炎を含め密度の高い骨を十分考慮する必要がある。