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頬側部分層弁伸展骨膜形成術

【読み】
きょうそくぶぶんそうべんしんてんこつまくけいせいじゅつ
【英語】
Labial Split-Thickness Eversion Periosteoplasty(EPP)
【書籍】
Quintessence DENTAL Implantology 2023年6号
【ページ】
124

キーワード解説

 頬側部分層弁伸展骨膜形成術(以下、EPP)は、骨膜減張切開と、部分層弁による内側弁形成の、2つの術式を併用したものである。本術式の特徴として、2つの術式をはっきりと区別し、異なる切開線を設定することが挙げられる。
 手順としては、まず頬側粘膜基底部に減張切開を加え、弁をテンションフリーな状態にする。そして、粘膜内部に2つの縦切開ならびに粘膜辺縁から10mmの部分に横切開を行い、粘膜骨膜弁を内側に伸展した部分と外側の部分の2つに分ける。内側骨膜弁による骨造成部の被覆と舌下固定(sublingual fixation)を行い、外側頬側弁と舌側弁の断端を水平マットレス縫合と単純縫合で縫合する。
 前向き臨床研究においてEPPを行った際、出血や腫張などの口腔外科手術直後に一般的に認められる合併症が術後2日および7日に確認されたが、術後14日以降はこれらの合併症はほとんど認められなかった。これには、骨膜が有する血液供給能、組織治癒能が関与した可能性が考えられる。
広範囲骨造成に対する軟組織被覆においてEPPが有効であるという結果が研究で示されたが、一方で、対照群が設定されていない観察研究であること、術後に口腔前庭の平坦化が起こる可能性があることに留意しなければならない。