社会|2026年10月20日掲載
パノラマ×デンタル×CBCTの読影力を磨こう!
Web Saturday Night Update Seminar開催
さる10月17日(土)、Web Saturday Night Update Seminar(NDL株式会社主催、長谷ますみ代表取締役社長)がオンラインで開催された。同セミナーは、歯科衛生士が「知っておきたい」「この先生の話をぜひ聞いてみたい」と感じるテーマを取り上げ、土曜日の20時から、自宅や勤務先の医院などで気軽に受講できる学びの場として企画されている。
今回は、相宮秀俊氏(愛知県開業)が登壇。「“なんとなく見る”を卒業 パノラマ×デンタル×CBCTで磨く、歯科衛生士の読影力――コンビネーションで高める見方と伝え方」と題し、パノラマX線写真を中心に、デンタルエックス線写真やCBCTを組み合わせた読影のポイントを解説した。さらに、画像から得られた情報を診断や患者へのコンサルテーションにどのようにつなげるかについて、豊富な臨床例を交えながら解説した。
相宮氏は冒頭、「症例ごとにフォーカスポイントをもつことが重要」と強調。患者の主訴やライフステージを踏まえ、必要な検査を選択し、診断から治療計画へ展開する一連の思考を示した。パノラマX線写真については、自著『パノラマ診断 パーフェクトガイド』(相宮秀俊・著、小社刊)の内容をもとに、断層域や投影角度、ゴーストイメージ、ポジショニングなどを解説。撮影頻度の高い身近な検査であるからこそ、正確な位置づけと撮影原理への理解が診断精度を左右すると述べた。
続いて、う蝕や歯周病、根尖病変の読影を症例とともに提示した。う蝕は画像上で確認できる時点で実際にはさらに進行している可能性があり、サービカル・バーンアウトなどとの鑑別には、視診や触診を含めた総合的な判断が欠かせない。また、歯周病では歯槽骨頂の連続性を追うことが骨吸収を見抜く手掛かりとなる一方、骨欠損の立体形態は二次元画像だけでは把握しにくいとして、デンタルエックス線写真とCBCTを組み合わせる意義を説明した。
とりわけ印象的だったのが、CBCTの読影手順である。CBCTは撮影するだけで診断できるものではなく、水平断で対象歯を捉え、矢状断で歯軸と近遠心的位置を合わせ、冠状断または頰舌断で目的部位を切り出す必要がある。断面の設定によって、歯根、根管、根分岐部、頰舌側骨などの見え方が大きく変わるため、正常像を理解し、三次元像と各断面を対応させることが不可欠となる。
講演内では、1・2・3壁性骨欠損をCBCTで判別し、実際の外科所見と照合した症例も紹介された。欠損形態の把握は、歯周組織再生療法に用いる材料の選択だけでなく、歯科衛生士がSRP時のインスツルメントや挿入方向を検討するうえでも役立つという。さらに、皮質骨が厚いため二次元画像では見えにくい下顎大臼歯部の根尖病変、歯肉退縮と頰側骨の厚み、深在性う蝕と歯髄との位置関係、歯根破折にともなう限局性骨吸収など、CBCTが有効となる場面が具体的に示された。ただし、歯根破折では破折線そのものをつねに描出できるとは限らず、臨床所見との総合診断が必要とされた。
質疑応答では、卒後間もない歯科衛生士から、う蝕や骨吸収の読影に苦手意識があるとの声が寄せられた。相宮氏は、画像所見を実際の窩洞や外科時の骨形態と照合し、「予測と答え合わせ」を重ねることが読影力の向上につながると回答した。
「画像は同じでも、学ぶことで見える世界は変わる」。その言葉どおり、日常的に目にする画像から、いかに多くの情報を読み取り、患者の治療と理解へ還元するかをあらためて考えさせられる講演となった。