Schwarz appliance
- 【読み】
- しゅわるつあぷらいあんす
- 【英語】
- Schwarz appliance
- 【書籍】
- ザ・クインテッセンス 2011年2月号
- 【ページ】
- 89-92
キーワード解説
拡大ネジを1つまたはそれ以上組み込んだ床矯正装置。これを「シュワルツの装置(Schwarz appliance)」とよぶのは、Schwarz AMがヨーロッパで用いられていた使用済みの床矯正装置を大量に収集し、これらを整理して治療目標に応じて系統だて、治療方式をまとめ、1938年に矯正治療の教科書を出版したことによるものであって、Schwarz自身がそれらの装置を新たに考案したわけではない。Kingsley NWは1877年にjack-screwを硬質ゴム床に組み入れた下顎床矯正拡大装置を、1892年に同様の上顎拡大装置を発表している。それらの装置はSchwarz applianceと構造・機能的にまったく同じで、Schwarz applianceの文献的原点といえる。1928年にはNord CFLが多数歯をひとまとめにして移動するシンプルスクリュー付きの床矯正拡大装置を発表している。これはKingsley NWの拡大装置と構造や機能はまったく変わりはないが、このNordの論文が引き金となって、この種の床矯正拡大装置がヨーロッパで発展した。
日本ではマルチブラケット法の発展とともに、ほとんど大学機関や矯正専門医に着目されなかったSchwarz applianceであるが、1995年くらいから床矯正拡大装置による非抜歯・拡大矯正治療の書籍や歯科商業誌への投稿が多くなるにしたがい、Schwarz applianceによる床矯正治療が、マルチブラケット法を習得していない一般臨床医のなかでブームになってきている。一般的に簡単に思われている床矯正装置は、症例によってはすばらしい効果を発揮できるケースもあるが、思ったような歯の移動ができないことが多く、調整は意外に難しく、熟練を要する。