ポリベーガル理論
- 【読み】
- ぽりべーがるりろん
- 【英語】
- Polyvagal Theory
- 【書籍】
- QDT 2018年 8月号
- 【ページ】
- 124
キーワード解説
ポリベーガル理論とは、Stephen Porges氏(ノースカロライナ大学精神医学部教授、インディアナ大学Distinguished University Scientist)が1995年に提唱した理論。これは、自律神経系を交感神経、副交感神経の2種類とする従来の理論に加え、「社会交流システム」というコンセプトを新たに持ち込んだものである。すなわち、自律神経には系統発生的に、(1)背側迷走神経(副交感神経系)、(2)交感神経、(3)腹側迷走神経(社会交流システム、Social Engagement System)の3系統あり、もっとも新しい社会交流システムは、哺乳類にのみ存在する。この神経サブシステムがもっとも発達しているのは霊長類であり、複雑な社会的、絆行動を支配している。これは高等な迷走神経を調整する副交感神経系の分岐であり、神経解剖学的には表情、発声、首の回転、中耳の筋肉および咀嚼筋を支配する脳神経に接続し、社会交流システムを構築している、とするものである。