2023年11月23日掲載

終日にわたり会員発表が行われ、熱気に包まれる

the 29th dhcoax meetingが開催

the 29th dhcoax meetingが開催
 さる11月23日(木)、合人社ウェンディひと・まちプラザ(広島県)において、the 29th dhcoax meeting(谷垣裕美子、足利奈々主宰)が開催され、歯科衛生士、歯科医師ら約70名が参集した。dhcoaxは歯科衛生士を中心に活動しているスタディグループで、神戸と広島で交互に勉強会を開催している。今回、コロナ禍を経て、4年ぶりに広島での開催が実現した。

 終日にわたり会員発表が行われ、1医院ずつ歯科医師と歯科衛生士がそれぞれ登壇した。演題・演者は以下のとおり。

「妥協しない矯正治療を目指して~動的治療に入る前の医院システム、矯正専門医院での歯科衛生士の役割~」
中川公貴氏(大阪府開業)、林 琴子氏、川中麻鈴氏(ともに歯科衛生士、K’s矯正歯科)
 矯正治療開始前の歯周治療、プラークコントロールを重視するという治療方針をふまえて、矯正専門の歯科医院でSRPや口腔衛生指導(OHI)を実施している取り組みが紹介された。また、歯科衛生士による症例報告では、なぜ矯正治療を希望するのかという主訴の裏側まで把握し、患者さんの伴走者として支援する歯科衛生士の姿勢が共有された。

「症例を通して考える日常の診療(システム)と、私が感じたこと」
「ライフスタイルやライフステージに応じて、 歯科衛生士の私ができること」
香坂陽介氏(山口県開業)、中嶋美由起氏、重永 優氏(ともに歯科衛生士、香坂歯科医院)
 自院の歯周治療のシステムとして、患者さん、歯科医師、歯科衛生士、トリートメントコーディネーターの四位一体で行われているSTEPシステムについて紹介したうえで、その流れをふまえた症例報告がなされた。また、歯周病のリスクに加えて、ライフスタイル(仕事)やライフステージ(妊娠・出産・育児)を考慮した歯科衛生士のかかわりも示された。

「3年目の歯科衛生士が見たこと、感じていること~長いものには巻かれろ!の時代は古いのか?!~」
田中友菜氏(歯科衛生士、オパールデンタルクリニック)
 歯科衛生士になってからの自身の歩みや、ぶち当たった壁、失敗・成功体験について、1年ずつ順に振り返った。勤務先には経験豊富な先輩歯科衛生士が多いということもあってか、「長いものには巻かれろ」という考えに至った経緯が述べられた一方で、失敗を繰り返しながらも少しずつ成功を目指していくという力強い抱負で締めくくられた。

「のれんは革新~昭和から令和へと、のれんは受け継がれるだけではない~」
柄 慎太郎氏(広島県開業)、日野仁美氏、井村 鈴氏、森山陽子氏(すべて歯科衛生士、柄歯科医院)
 開業45年の歯科医院を昨年継承したということで、この1年間で行われた新たな取り組みが紹介された。また、症例報告では、先輩歯科衛生士のサポートによりSRPやOHIを進めた症例、一方的な押し付けになってしまったOHIを見直した症例、タイプ分けをふまえて患者さんとのコミュニケーションを工夫した症例など、発表者である歯科衛生士のキャリアに応じた症例報告がなされた。

 今回は原点回帰ということで招聘講演は行われず、会員発表のみで構成された本会。「dh(歯科衛生士)」と「coaxial(同軸)」という2つの言葉を合体させたグループ名のとおり、普段臨床を行う環境は違えど、患者さんの健康を守るために同じ方向を向いている者同士による発表の数々に、会場は終始熱気に包まれていた。

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