2015年5月24日掲載
泉 英之氏が講演し盛会となる
大阪大学歯学部同窓会、第467回臨床談話会を開催

泉氏はまず冒頭で、患者さんと長く付き合っていくうえでは有髄歯のほうが安心で、とくに若年者の抜髄は将来的なリスクが大きいことから、歯髄保存の重要性を強調。氏の臨床では歯髄保存ができるようになっているとしたうえで、その適応症、術式、臨床判断について多くの文献と実際の症例とともに解説した。なお、治療にはすべてマイクロスコープを使用していることを付け加えた。
講演では示唆に富んだ多くの解説がなされたが、なかでも歯髄の治癒は「感染の有無」と「歯髄の生活度(年齢)」で決まり、感染がなく歯髄の生活度が高い(患者の年齢が低い)ほど治癒する可能性が高く、長期的な予後は「マイクロリーケージの有無」に影響を受けるとした。また、歯髄の状態を正確に把握することは難しいため、術前にEPT、冷刺激、温刺激、打診痛の有無、自発痛の既往などを精査して、術中に露髄面の出血や止血の可否を確認することの重要性を説いた。
まとめとして、歯髄保存を成功に導くには、術前の歯髄の状態を見極めてマイクロリーケージを防ぐことと述べ、「すべての治療ゴールは患者さんのQOLの向上にある」と締めくくった。演題どおり、科学と臨床に基づいた説得力のある講演に、参加者はみな熱心に聞き入っていた。