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2015年6月14日

平成27年度一般社団法人日本歯科審美学会第1回セミナー開催

「歯科審美におけるインプラントの役割」をテーマに多角的な講演と議論が展開

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 さる6月14日(日)、大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホール(大阪府)において、平成27年度 一般社団法人日本歯科審美学会 第1回セミナー(宮内修平理事長)が開催され、6名の講師が登壇した。

 田内友貴氏(東京都勤務・歯科衛生士)は、前歯部審美領域におけるインプラントメインテナンスについて講演。炎症を発生させない適切な清掃法、非外科処置での治療が可能であるとされるインプラント周囲粘膜炎のうちに問題を見極めるためのポイントについて解説した。

 山口徹太郎氏(昭和大准教授)は、近年保険収載され注目を集める歯科矯正用アンカースクリューの必要性、使用方法などについて教育的な講演を展開。また、日本矯正歯科学会が提唱するガイドラインなどに基づき、トラブルが生じないよう慎重に応用することの重要性を強調した。

 庄野太一郎氏(徳島県開業)は、おもに無歯顎患者に応用したインプラント症例を供覧。人工歯肉あり/なし、歯肉接触型/非接触型など、各種の補綴形態の適応基準やポイント触れた。また、インプラント補綴で咬合高径を挙上して機能回復を順次行っていくためのトレーニング法、プロビジョナルレストレーションの有効な使用法に言及した。

 藤本光治氏(大阪府勤務・歯科技工士)は、顔貌・口唇および機能的調和を求めた審美性を永続的に保つためのポイントを、歯科技工の観点から解説。上顎前歯部の補綴物にトラブルを起こさないために下顎との咬頭干渉に留意すべき点、臼歯部欠損部位にインプラント補綴を応用するなどして咬頭嵌合位の維持・安定を図ることの重要性などを説いた。

 木林博之氏(京都府開業)は、審美修復に歯肉縁下カントゥアが与える影響について詳説。スマイルラインの分析について述べたのち、多数の症例を供覧しながら天然歯、ポンティック、インプラント、それぞれの補綴様式における歯肉縁下カントゥアと辺縁歯肉との関係に焦点を当て、配慮すべき点をまとめた。

 佐藤洋司氏(秋田県開業)は、隣在歯、ひいては口腔全体の調和と機能回復を考慮した審美部位のインプラント治療に言及。良好な治療を得るための、インプラントの的確な埋入時期、埋入ポジション、硬・軟組織のマネージメント、補綴のタイプや固定法の選択、歯科技工士とのコミュニケーションについて、それぞれ丁寧に解説した。

 以上、幅広い専門領域で活躍する演者が集結した本セミナーでは、メインテーマとなった「審美」「インプラント」はもちろんのこと、質疑応答では歯科治療全般について包括的な議論がなされるなど、充実の1日となった。