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2009年3月7日

公開シンポジウム「タバコの煙は愛する人を傷つける」開催

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 さる3月7日(土)、鶴見大学記念館(神奈川県)にて市民公開シンポジウム「タバコの煙は愛する人を傷つける」(日本学術会議、鶴見大学、国際口腔医療財団共催)が開催され、約300名が参加した。本シンポジウムは、松沢成文氏(神奈川県知事)が全国に先駆けて受動喫煙防止条例を提唱していることに日本学術会議が注目し、地元でシンポジウムを開催することによって、国民とくに神奈川県民の意識を高めるために開催されたもの。以下に講演の概略を示す。

「人はなぜ死ぬのか?」(唐木英明氏、日本学術会議副会長)

 本講演のなかで唐木氏は、喫煙と野菜などの食事との関係、人間のリスク感覚がいかにあてにならないのかなどを盛り込みながら語った。

「タバコは最も殺人的麻薬である」(西林正知氏、能率協会常任理事)

 本講演では、西林氏が喫煙者であり口腔がん克服患者であることを説明し、がんになって喫煙を後悔した感動的な講演を行った。

「愛情卒煙のすすめ」(瀬戸晥一氏、鶴見大特命教授)

 本講演で瀬戸氏は、喫煙する若者を嫌煙ではなく、愛情で卒煙させようとするが、タバコの依存性に蝕まれた若者を愛情だけでは救えないと訴えた。

「受動喫煙防止条例の目指すもの」(松沢成文氏、神奈川県知事)

 本講演で松沢氏は、神奈川県における受動喫煙防止条例についての目的、具体的内容などについて明快に説明した。

 その後の会場では、全体討論では活発な質疑応答があり、好意的な熱気に包まれていた。質問のなかにはタバコ事業法があるにも関わらず、日本学術会議が政府に要望をだすことはいかがなものかとの指摘もあった。これに対して大野氏は即座に、「日本学術会議は、科学の立場から法律が正しくなければ政府に提言する。とくにこれは経済発展ために健康を無視する古い法律で、このために日本は禁煙最後進国となっている」と回答した。歯科医師である大木哲大和市長は、受動喫煙防止を進める知事の苦労を労った。新井 高氏(鶴見大歯学部長)は、歯周病とタバコに関して発言し大きな関心を呼んだ。

 喫煙に関して今まで医師からの警告は多く、歯科医師からの直接的な発言は少なかったが、本シンポジウムでは口腔がん、歯周病が大きくクローズアップされ、タバコと口腔疾患との関係が重要な切り口となっていることに注目が集まっていた。