2023年12月2日掲載

アライナー矯正治療のさまざまな展開が取り上げられる

第10回日本アライナー矯正歯科研究会(JAAO2023)開催

第10回日本アライナー矯正歯科研究会(JAAO2023)開催
 さる12月2日(土)、3日(日)の両日、東京ポートシティ竹芝(東京都)において、第10回日本アライナー矯正歯科研究会(JAAO、日本アライナー矯正歯科研究会主催)が開催された。同研究会主宰の尾島賢治氏(東京都開業)が司会・進行を務めた本会は「アウトソーシングアライナー」「インハウスアライナー」「アライナー矯正×インターディシプリナリー」の3つのテーマで構成され、日本人演者による講演のほか、中国、タイ、ドイツ、スペイン、アメリカなど海外演者による録画講演も行われ、演者は20名(海外10名、日本10名)にのぼった。本会は現地開催にくわえてWeb配信のハイブリッド形式行われ、150名以上を集める盛会となった。

 そのなかで、長尾龍典氏(京都府開業)の「デジタル矯正診断の現在、そして未来 〜スマイルアーキテクトがもたらすもの〜」では、インプラントを含む補綴修復治療を多く行うGPの立場から、前歯部に限局したアライナー矯正治療を臨床に取り入れるメリットについて解説した。また長尾氏は矯正治療と補綴修復治療をあわせた治療計画を立案できるアライナー矯正治療システムの機能を用いることで、コンビネーション治療やフルマウスリコントラクションがしやすくなった旨を述べた。

 また、Ki Beom Kim氏(米国・セントルイス大教授)による「New Paradigm of Clear Aligner Therapy」では、部分的に装置の厚さを変えることで、切縁より矯正力が弱くなる歯肉縁にも同等の力を与え、歯体移動を図ることができるインハウスアライナーの登場、矯正力に対する移動効率が向上し治療の効率化に寄与する形状記憶機能をもつダイレクトプリンティングアライナーの登場といった、アライナー矯正治療のバイオメカニクスと予測可能性におけるパラダイムシフトについて解説した。

 尾島氏は「インビザライン 抜歯症例のリカバリーテクニック」、「インハウスアライナー矯正治療を成功するためのステージング」、「アライナー矯正治療とインターディシプリナリー」の3題を講演した。そのうちインハウスアライナーでは、アライナー型矯正装置のマージン戦略について解説した。またインターディシプリナリーについては、山崎長郎氏(東京都開業)とコラボレーション講演を行い、補綴治療の専門家と患者フレンドリーなアライナー矯正治療とのコンビネーション治療と今後の展開について解説した。

 次回の第11回研究会は、きたる2024年9月7日(土)、8日(日)の両日に開催予定である。

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