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2022年9月号掲載

Withコロナ時代、信頼できる医療情報とは

 NHKの番組「フェイク・バスターズ」において、新型コロナのワクチンに関する本を検証するメンバーとして参加した。医療に関するメディア報道のあり方を勉強する会(メディアドクター研究会)の一員として、である。

 検証にあたっては、メディアドクター指標「利用可能性・新規性・代替性・あおり/病気づくり・科学的根拠・効果の定量化・弊害・コスト・情報源と利益相反・見出しの適切性」を用いた。

 この指標は、普段メディアの記事を読む際の基準として非常に役立つ。筆者が情報を発信する際や患者さんに話す時には、科学的根拠つまりエビデンスに留意し、相関と因果関係を混同しないようにして、なるべく間違いや独りよがりにならないようにしている。

 歯科においては、ネットの記事などでこういったことをなおざりにしていることが多く、指標で考えたときに不満足になることが少なくない。番組後半のがん治療方法の部分では、エビデンスピラミッドに関する話もあった。その1つの「症例報告」はエビデンスとしてはあまり役に立たない。一人の患者さんがそうだったからといって、多くの患者さんが同じになるということにはまったくならないのだ。

 がん治療においては、治療方法を選択するにあたり、標準治療が主になるが、歯科医療におけるエビデンスに基づいた標準治療とは、どのようなものか。

 保険や自費とか治療の話では、科学的根拠という観点において箸にも棒にも掛からないのはいうまでもない。