萬人一語

オンライン資格確認、義務化も混乱必至

2023年6月号掲載

関連キーワード:

2023年6月号掲載

オンライン資格確認、義務化も混乱必至

 本年4月からオンライン資格確認システムの導入が義務化された。私の診療所でも導入したが、利用する患者は月に片手にも満たない。1人の患者がオンラインで確認したところ、2年以上前の資格がない保険証情報が画面に出てきた。国保連合会に問い合わせたが、対応方法はわからないらしく、別の問い合わせ先を教えられた。そちらに電話しても「混雑しているので後でかけ直してください」の合成音声の繰り返し……。聞くところによると、保険証のマイナンバーカード(以下、カード)化への対応が一番遅れているのが保険者らしい。現在、転職などで保険証が変わる場合はタイムラグがあるが、カードになると保険組合から当局への連絡が加わるため、さらにタイムラグが長くなるわけだ。実際、カードで資格確認をしたにもかかわらず、返戻になった例もあると聞いている。

 個人情報保護法が改正され、取り扱いには慎重さと責任が求められるようになってきている。現在、薬剤情報はすでにカードで読み取ることができるが、これからはカルテ情報なども取り込んでいくことが予定されている。また、今後は医療関連だけでなく銀行口座や運転免許証などの情報もカードで読み取れるようになるだろう。

 オンラインで全医療機関がつながってしまうわけだが、万が一トラブルがあった場合、義務化ということで小規模診療所にも相応の責任を負わせるのであろうか。国はカードで便利になると言っているが、はたして本当にそうだろうか。現場の混乱は、つづく。