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2016年10月23日

日本大学歯学部同窓会、生涯研修シンポジウムを開催

「歯科医師が行う摂食機能療法の実際」をテーマに

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 さる10月23日(日)、日本大学歯学部1号館(東京)において、日本大学歯学部同窓会による生涯研修シンポジウム「歯科医師が行う摂食機能療法の実際」が、植田耕一郎氏(日大教授)を座長に、阿部仁子氏(日大助教)、寺本浩平氏(東京都開業)、岩崎貢士氏(埼玉県開業)の3名を講師に迎え開催された。

 まず植田氏が登壇し、現在教授を務める日本大学歯学部摂食機能療法学講座の立ち上げに至るまでの氏の歩みや立ち上げ後の取り組み等を概説しつつ、リハビリテーションは治らないこともあるからこその医療であり、摂食嚥下リハビリテーションにおいては結果ではなく「かかわりの医学」であるという価値観をもって臨床に臨んでほしいと述べた。また、歯科は口腔相の専門家として摂食嚥下障害に対応すべきであることを強調した。

 次に登壇した阿部氏は、その立ち上げ当初から在籍する同講座における摂食機能療法の実際を、いかに日大医学部病院との連携を確立していったかを交えて紹介した。また、自身のターニングポイントとなった症例を振り返りつつ、患者を取り巻く環境、そして患者本人が抱える想いを汲み取りながらかかわっていくことが大切であるとした。

 続いての寺本氏は、開業歯科医としていかに歯科訪問診療や食支援を行っていくかについて、現場での実例を交えつつ述べた。摂食嚥下障害への介入というと、まずは訓練と考えがちだが、患者の「姿勢」や「食べるもの」、そして「食べ方」を観察し、改善できるところを改善した後に訓練を検討するほうが開業医としては介入しやすいとした。また、訪問診療で患者とかかわっていくうえで避けては通れない"看取り"について、歯科も今後考えていかなければいけないと述べた。

 続いての岩崎氏は、初診時は発語もなくコミュニケーションがまったく取れなかった胃瘻の患者が、口腔ケアに始まり義歯の新製、訓練などの継続的な介入によって、劇的な改善をみせた症例を紹介し、噛む、飲み込む、食べるといった口腔の機能を取り戻すということは、患者に再び命を吹き込むことに繋がり、歯科はその最後の砦としての重責を担っていると述べた。

 その後、演者全員が登壇して行われた質疑応答では多数の質問が寄せられ、盛会裏に終会となった。