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2016年10月28日

第28回日本小児口腔外科学会総会・学術大会開催

「少子社会における歯科医学の果たす使命」をテーマに

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 さる10月28日(金)、29日(土)の2日間、広島大学応仁会館(広島県)において、第28回日本小児口腔外科学会総会・学術大会(香西克之大会長、坂下英明理事長)が「少子社会における歯科医学の果たす使命」をテーマに開催された。

 29日(土)には、宮新美智世氏(医歯大大学院小児歯科学分野)によるランチョンセミナー「小児の歯の外傷:臨床のトピックス」が行われた。子どもの口のケガへの初期対応として、落ちそうな歯・血液・異物を飲まさないこと、折れた歯はおおう、ずれた歯は戻す、揺れる歯は留めること、がまず大事と述べた。問題となるのが露髄だが、露髄後1日目は直接覆髄すると保存の成功率が80%ほどだが、その1週間以内に部分歯髄切断すると成功率が95%ほどに上がることを示した。その後は歯の外傷・診断カレンダー(クリニカルパス)に基づいて歯根吸収、骨折の治癒、ほかの不良所見が起こる時期を患者に説明し、観察・介入を継続していくことが大事と述べた。また、歯が脱臼することにより合併症が起こるが、歯根膜にナイロン糸でプロービングして歯根膜の断裂状態を精査することが必要と述べた。その後、歯根吸収が起こってくると問題になるが、歯根吸収が起こっている歯を抜歯し、病変部を形成後にスーパーボンドで封鎖して再植する方法、乳歯の外傷後にできた永久歯の形成不全歯を、スーパーボンドを用いて修復する方法などを示した。

 そして、大薗恵一氏(阪大大学院医学系研究科小児科学講座)、矢郷 香氏(国際医療福祉大歯科口腔外科)、光畑智恵子氏(広大大学院医歯薬保健学研究院小児歯科学講座)がシンポジウム「ビスホスホネート製剤投与小児に対する歯科処置」をテーマに講演。小児においても、先天性の骨形成不全症やがんでビスホスホネート(以下、BP剤)が用いられる。しかし、日本では小児のBP剤服用患者の歯科治療のマネジメントに関する調査やガイドラインがなかったことから、発症の現状調査や指針を求める声が多かった。そこで、日本小児口腔外科学会評議員施設・歯科大学にアンケート調査を行い、実態を調査した。その結果、初診時年齢14歳で、歯科治療後21歳時に顎骨壊死を認めた報告が確認された。また、学会で歯科治療時のマネジメント指針を作成してほしいとの現場の声が改めて確認されたと述べた。