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2017年10月18日

第76回日本矯正歯科学会学術大会開催

「知の蓄積と技の連関」をテーマに

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 さる10月18日(水)から20日(金)の3日間、さっぽろ芸文館、ロイトン札幌、札幌市教育文化会館(北海道)において「第76回日本矯正歯科学会学術大会」(溝口 到大会長、清水典佳理事長)が「知の蓄積と技の連関」をテーマに開催され、歯科医師・歯科衛生士ら4,513名が参集した。

 1日目は夕刻から生涯研修セミナー、指導者講習会、2つのサテライトセミナー等が開催された。そのなかで生涯研修セミナーでは「歯科治療と心の問題」をテーマに豊福 明氏(医歯大教授)と安彦善裕(北海道医療大教授)が登壇し、矯正歯科の患者にみられる精神疾患や医学的に説明困難な身体症状(MUS)について講演した。

 2日目以降は、2つの特別講演と臨床セミナー、特別シンポジウム、招待講演、ラウンドテーブルディスカッション、企業プレゼンテーション、口演や学術展示、症例展示などが行われた。

 そのうち臨床セミナー1では「埋伏歯の診断と治療」をテーマに「埋伏歯の診断と治療の背景」と題して飯田順一郎氏(北海道医療大特任教授)本テーマの基礎を、また「上顎犬歯萌出障害に起因する切歯歯根吸収の早期診断法とその臨床応用について」と題し具体的な臨床について稲毛滋自氏(神奈川県開業)が症例を交えて解説した。

 また特別講演ではPeter H. Buschang氏(テキサスA&M大歯科大学指導教授)が「HyperdivergentのII級患者に関する考えと治療のための新しいアプローチ」と題して講演を行った。Hyperdivergent2級咬合患者の治療では、従来の下顎の成長に関する考えを改める必要があるとし、上下顎の歯の挺出の影響を受けた下顎の「真の回転(前頭蓋底を基準とした際の下顎骨コアの回転)」によって、下顎の成長誘導とその後の安定をもたらすことができるとした。

 さらに特別シンポジウムでは、中国、韓国、台湾、日本の、各国において矯正歯科学会で会長を務めるなど矯正歯科分野で中心的な役割を担う演者たちが登壇した。症例を中心とした講演から、各国における矯正歯科の最新の時流を学ぶことができ、聴衆らの耳目を集めた。

 本大会の最終プログラムとして開かれたJOCフォーラムでは、「矯正歯科を取り巻く現状と課題―国民が求める新たな矯正専門医制度等について」と題し、ホームページや広告等における専門医表示の問題を中心に学会の取り組みを紹介した。学会は不適切な広告や劣悪な治療、患者とのトラブルを減らし、国民が安心安全な治療と健康に寄与する矯正歯科であり続けることを希求する点が確認され、閉幕となった。