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2017年10月29日

日本大学歯学部同窓会、生涯研修2017講演会を開催

講師に安藤彰啓氏と野間 昇氏を招聘

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 さる10月29日(日)、日本大学歯学部大学院大講堂(東京都)において、日本大学歯学部同窓会生涯研修2017講演会「口腔顔面痛を究明する。―この痛みの原因わかりますか?―」が開催された。

 安藤彰啓氏(東京都開業)と野間 昇氏(日大)の両名が講師を、今村佳樹氏(日大教授)が座長を務め、講演会の前半と後半それぞれに安藤氏、野間氏が交代で講演を行い、最後に質疑応答の時間がもたれた。

 講演に先立ち、座長の今村氏より、これからの歯科医療が目指すべき「健康」は、従来からの咀嚼・審美に加えて、咀嚼以外の口腔の機能、疼痛や味覚・知覚といった感覚も含めてのものであることから、歯科医師も"痛み"への理解を深め、アプローチしていく必要があることが述べられた。また、2000年の日本口腔顔面痛学会の設立をはじめとした口腔顔面痛教育のための活動も紹介された。

 安藤氏の講演では、目には見えない痛みを診るためには、知識、つまり痛みを知ることが重要であるとし、痛みの発生・伝達のメカニズム、「侵害受容性」「神経障害性」「心因性」の3種類の痛みについて、また症例を交えながら痛みを診断していくステップ等について解説された。歯科医師が扱う痛みは、う蝕や歯周病など、その原因を目で見ることができるものが主であるため、原因を見ることのできない痛みに遭遇した際は心因性を疑いがちだが、ぜひ神経障害性疼痛の可能性にも目を向けてほしいと強調された。

 野間氏の講演では、開業医でできる口腔顔面痛の診断方法として筋の触診、手指による圧痛検査、めん棒や温度による感覚検査、局所麻酔を使ったテストなどが動画を交えて紹介された。また、筋・筋膜性疼痛と関連痛、根管治療後の痛み・慢性痛の診断の勘所について解説された。その痛みが歯痛と似ていることから、患者が最初に歯科を受診する可能性の高い三叉神経痛については、脳腫瘍など命にかかわる疾患が隠れているケースもあることから見逃してはいけない疼痛の1つとして取り上げ、患者の身体的特徴やスクリーニング法等について解説した。

 質疑応答では、会場からの質問に答えながら、活発な意見交換が行われた。