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2017年11月26日

九州臨床歯科の会・MMID・KDM若手会合同勉強会(熊本)開催

「歯の保存を再考する――天然歯を活かすために」をテーマに

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 さる11月26日(日)、熊本県歯科医師会館(熊本県)において、「九州臨床歯科の会・MMID・KDM若手会合同勉強会(熊本)」が開催された。九州臨床歯科の会・MMID・KDM若手会(代表は各々、池尻敬氏〔福岡県開業〕、土田晃太郎氏〔宮県開業〕、片山建一氏〔熊本県開業〕)の有志が年に一度集う勉強会で、以下の演題で発表された。

「外傷歯へのアプローチ」(箕田竜也氏、熊本県勤務)
「初めての歯根単切除術」(近藤崇氏、福岡県開業)
「歯冠歯根比を再考する」(山中龍太郎氏、宮崎県開業)
「衛生士としての歯の保存へのかかわり」(米可那氏、福岡県勤務)
「歯周病患者における禁煙指導とメンテナンス」(兒玉亜祐美氏、宮崎県勤務)
「上顎犬歯と挺出処置について」(境 大助氏、熊本県開業)
「最終像を見据えた歯の保存」(池尻 敬氏、福岡県開業)
「基本的な根管治療で歯を残す」(日高輝政氏、宮崎県勤務)

 境氏は「上顎犬歯と挺出処置について」として発表。65歳女性が上顎左側3クラウンとポストコアの脱離を訴えて来院し、脱離した修復物には破折した歯冠の一部が認められた。歯冠部歯質が失われた左上3を挺出させて修復できたことで、保存ができた症例を示した。つぎに、根管治療既往歯の上顎左側3にサイナストラクトが認められ、歯根端切除術を施し保存できたことでロングスパンブリッジを回避できた症例を示した。最後に、頬側に8mmのプロービングデプスを認めた上顎左右33のうち、上顎右側3は破折を認め、抜歯を余儀なくされたが、その一方、上顎左側3も歯根破折を認めたが、外科的挺出を施して修復することで保存でき、上顎は3本の残存歯だがコーヌス義歯で咬合させることができた症例を示した。歯肉縁上の歯質がない場合や、歯の深部ではない破折の場合は、矯正的挺出や外科的挺出を用いて限られた残存歯を保存することは、咬合を守るのに有効であるとまとめた。

 いずれの発表でも、1本の歯を保存することで、それ以上の欠損歯列の流れが進行することを防ぐキートゥースを守り、誠実な治療が行われた例が示された。