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2017年12月17日

「第3回補綴歯科臨床研鑽会 プロソ'17」開催

「デジタル化による補綴治療の新しい潮流」をテーマに

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 さる12月17日(日)、大阪国際会議場(大阪府)において「第3回補綴歯科臨床研鑽会 プロソ'17」(日本補綴歯科学会主催、末瀬一彦大会長、市川哲雄理事長)が「デジタル化による補綴治療の新しい潮流」をテーマに開催され、全国各地から約300名が参集した。本研鑽会は、日本補綴歯科学会が補綴歯科専門医を志す会員やすでに専門医となった会員のための研鑽の場、さらには若手・中堅会員のための発表の場として2014年から設けているもの。例年、若手大学人をはじめ多数が参集し、最新のテーマや基礎的な知識の研鑽・ブラッシュアップを行っている。

 会場ではまず、末瀬氏(大歯大客員教授)および市川氏(徳島大大学院医歯薬学研究部口腔顎顔面補綴学分野)の挨拶に引き続き、シンポジウム1「クラウン・ブリッジにおけるデジタルデンティストリー」が行われた。最初に登壇した伴 清治氏(愛院大歯学部歯科理工学講座)は「デジタルデンティストリーにおけるマテリアル選択」と題し、CAD/CAM用マテリアルの選択基準に関し、とくにジルコニア材料について詳説。高透光性ジルコニアが多数登場してむしろ混乱を招いているなか、今後もっとも汎用性が期待されるのは4Y-TZPであるとした。次に小池軍平氏(神奈川県開業)は「どう選ぶ、チェアサイド型CAD/CAMとネットワーク型CAD/CAM」と題し、精度や適応症の面からチェアサイド型CAD/CAMとネットワーク型CAD/CAMの臨床的な選択基準について示唆した。また新谷明一氏(日歯大生命歯学部歯科補綴学第二講座)は「デジタル時代の適合に対する考察と臨床」と題し、CAD/CAMの精度に影響する印象採得工程、CADによる設計工程、およびCAMによる加工工程においてそれぞれ生じる要素について検討した。また田邉憲昌氏(岩手医大補綴・インプラント学講座)は「下顎運動を咬合面形態に反映したCAD/CAMクラウン製作」と題し、下顎運動測定装置によるデータを用いたCAD/CAMクラウンの調整量は通法による製作と比較して少なくなることを示した。また井川知子氏(鶴見大歯学部クラウンブリッジ補綴学講座)は「クラウンブリッジ補綴における医用画像工学技術とCAD/CAM技術の融合」と題し、FGPテクニックをデジタルで行う「デジタルFGPテクニック」の概要について示し、本法を用いることでより機能に調和したクラウンの製作が可能となることを示した。そして上村江美氏(昭和大歯学部歯科補綴学講座)は「口腔内スキャナーとジルコニア材料の最前線」と題し、口腔内光学印象とモノリシックレストレーションの活用、そして模型を介さない補綴物製作が将来の補綴治療を合理化させることにつながるとした。

 引き続き、午後から行われたシンポジウム2「インプラント治療におけるデジタルデンティストリーの活用」ではまず正木千尋氏(九歯大口腔再建リハビリテーション学分野)が「インプラント治療におけるデジタルデンティストリーの有効性」と題し、主にサージカルガイドの種類およびそれぞれの精度について概観した。次に千葉豊和氏(北海道開業)は「BUDDING DIGITAL DENTISTRY」と題し、BUDDING(英:芽が出かけた、世に出始めた)な位置付けにあるデジタルデンティストリーの活用に関し、こちらもサージカルガイドの製作法をメインに症例とともに供覧した。次に今 一裕氏(医歯大インプラント・口腔再生医学分野)は「デジタル化によるインプラント治療の現状と展望」と題し、ガイディッドサージェリーを駆使した3症例を供覧、単冠から下顎骨切除後の再建症例に至るまでを供覧した。また横山紗和子氏(昭和大歯学部歯科補綴学講座)は「日常診療となったデジタルデンティストリー in インプラント」と題し、インハウスでサージカルガイドを製作できるCEREC Guide(デンツプライシロナ)の紹介や、インプラント治療計画用ソフトウェアのNobelClinician(ノーベル・バイオケア・ジャパン)の紹介などを行った。また丸尾勝一郎氏(神歯大口腔統合医療学講座補綴・インプラント学)は「インプラント治療における口腔内スキャナの有用性と課題」と題し、とくに臨床における口腔内スキャナー使用上の注意点について詳説。スキャナーの動かし方などにつき、根拠とともに示した。そして最後に、中野 環氏(阪大大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座)が「デジタルを用いたアウトカム評価から考える前歯部インプラント治療」と題し、前歯部インプラント治療に係る硬・軟組織造成前後の経過に関し、デジタル技術を用いて評価した結果について示した。

この他、会場ではランチョンセミナーや企業展示も活況を呈していた。なお、次回の開催は時期未定ながら、日歯大新潟生命歯学部(渡邉文彦大会長)を主管校として開催されるとのこと。