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2020年2月23日

第16回歯内療法症例検討会開催

症例を供覧し、ディスカッションが活発に行われる

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 さる2月23日(日)、東京医科歯科大学歯学部附属病院(東京都)において、第16回歯内療法症例検討会(株式会社Toppy主催)が行われた。本会は、吉岡隆知氏(東京都開業)が中心となり、歯内療法症例をさまざまな角度からディスカッションして日常臨床のヒントを得ること、また治療へのモチベーションを維持することを主目的に開催されているもの。

 午前中のセミナーでは、以下の演題・演者で講演が行われた。
「“リバスキュラリゼーション”の“現在”」(瀧本晃陽氏、東京都開業)
「歯髄保存のデメリット」(辺見浩一氏、東京都開業)
「歯種別対応 下顎小臼歯」(須藤 享氏、宮城県開業)
「補綴支台歯・鈎歯への根管治療の成績」(浦羽真太郎氏、昭和大)

 なかでも、辺見氏は近年の保存修復分野におけるトピックスの1つと目される歯髄保存について、そのメリットを述べる一方で、その診断や、術後に経過不良の場合の対処が難しいこと、さらに長期的な経過報告が少なく、残した歯根や歯髄がどうなるかは未知の部分が多いことなど、そのリスクを解説した。そのうえで、歯髄保存を適応する場合は、患者に対してメリットとともにこれらのリスクについても十分な説明する必要があると述べた。

 午後の歯内療法症例検討会は、8名の演者による症例発表、ディスカッションが行われた後、特別講演「症例検討から考える研究倫理と臨床倫理」と題し、田代志門氏(東北大)を演者に迎え行われた。

 田代氏は、研究倫理指針や倫理審査委員会制度に関する国の政策策定にもかかわる医療社会学と生命倫理学の研究者で、本講演は2018年に公布された臨床研究法が歯科分野での論文執筆や症例発表にどのような影響を及ぼすのかが学べるものとなった。田代氏はまとめとして、歯科の臨床報告についてはさしあたり臨床研究法や医学系指針は無関係であるとする一方、専門家の集団としての自主ルールをつくり、それに沿って活動していくことが大事であるとした。

 なお、巷での新型コロナウイルスの感染拡大が騒がれるなか行われた本会では、その注意喚起はもちろん、手指消毒液の設置や会場の定期的な換気、また運営スタッフによる消毒剤を用いての要所のふき取りなど、多数の配慮がなされていた。

 次回は、きたる9月6日(日)に秋葉原UDXシアター(東京都)で開催される予定である。