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2020年6月14日

「NCCLのマネージメント~入門編~」をテーマに黒江氏、井上氏が講演

オンライン講演会に約200名が参加し、盛況となる

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 さる6月14日(日)、オンラインミーティングプログラムのZoom上において「NCCLのマネージメント~入門編~ どう考える? 何をみる? どう対処する?」をテーマに黒江敏史氏(山形県開業)、井上 和氏(歯科衛生士)の両氏による講演会(無料)が行われた。黒江氏が「the Quintessence」誌2019年7~9月号にて、黒江氏・井上氏が「歯科衛生士」誌2019年10・12月号にてNCCLに関する特集を組み話題をよんだこともあり、定員の200名が募集開始半日で埋まるほどの盛況ぶりであった。

 本講演会は、非う蝕性歯頚部歯質欠損(noncarious cervical lesion:NCCL)に対して歯科医師、歯科衛生士がどのようにマネージメントしていくかについて、今回は主にNCCLの初学者向けに開催された。昨今、NCCLの病因論に関する議論が再燃するなか、アブフラクションがその原因であるとする肯定派の1人だった黒江氏が、約20年の時を経て否定派になった経緯について、科学的根拠の観点と、経過観察をとおした自身の臨床実感から紹介。「NCCLの正体は、歯肉退縮をともない、酸蝕の影響が少ない条件下で研磨剤入り歯磨き剤を使った水平的ブラッシングによる摩耗が主原因であるTooth Wearの一形態」としたうえで、「欠損しているのがエナメル質なのか象牙質なのか、歯肉退縮の有無をよく見ると、見え方が変わってくる。ぱっと見ただけで病態を判断せず、ぜひ皆さんの自身の目できちんと検証してほしい」とまとめた。

 つづいて、井上氏が講演。口腔内の経年的変化を患者さんに知ってもらうためには、きちんと口腔内写真を記録し、過去と現在の状態を比較して見せてあげることが重要とした。また、患者さんの食生活を把握することが重要だが、患者さんは本当のことを言わない傾向があることを認識したうえで、“前のめりで質問しないことが重要”など現場で役立つ実践的な手法が語られた。最後に、「私たち歯科衛生士がメインテナンスを通じ、患者さんの口腔内のささやかな変化を見つけてあげるしかない」と締めくくった。

 なお、次回セミナーは「NCCLのマネージメント~中級編~」(仮題)をテーマに、きたる7月19日(日)に開催予定とのこと(参加費2,000円)。詳しくは、両氏それぞれのFacebookページなどを参照されたい。