2021年12月9日掲載

同学会所属の気鋭、池畠光朗氏と根間大地氏による会員発表が行われる

日本臨床歯科学会東京支部、Webステップアップミーティングを開催

日本臨床歯科学会東京支部、Webステップアップミーティングを開催
 さる12月9日(木)、日本臨床歯科学会東京支部(大河雅之会長)によるWebステップアップミーティングが開催され、同学会所属の気鋭による2題の会員発表が行われた。演題、演者および概要について以下に示す(講演順)。

1)「不適切な歯軸に対して行われた補綴修復物に対するアプローチ」(池畠光朗氏、兵庫県勤務)
 本演題では、兵庫県内で勤務医を勤めながら日本臨床歯科学会のレギュラーコースを現在受講中という池畠氏が登壇。前医で処置された上顎前歯部修復装置の色調不良や歯肉の変色、および前突の改善を希望した初診時36歳女性患者に対し、基礎データ収集や顔貌の分析を行ったうえで、アライナー矯正歯科治療によるオーバージェットの改善と下顎歯列弓の拡大、およびその後の修復治療、という治療計画の立案と治療過程について示した。上顎4前歯にはモノリシックジルコニアクラウン、上顎両側側切歯にはコンポジットレジン修復を行い、その後患者のより高い審美性への希望によって、上顎両側側切歯にもラミネートベニア修復を行うこととなった治療結果を示し、そのうえで、補綴治療を前提としたアライナー矯正歯科治療においては、矯正歯科治療中の歯冠形態の変更が困難なため、治療前に歯冠形態や咬合など審美性・機能性の評価をさらに綿密に行い、最終補綴装置の形態を充分に煮詰め、理想的な最終補綴装置の製作につなげることが重要である、とまとめた。

2)「咬合崩壊をともなうSkeletal Class Ⅱ患者に対し上下インプラントを用いて咬合再構成を行った症例」(根間大地氏、東京都開業)
 本演題では、東京都開業で、本ステップアップミーティングにおける発表は3回目という根間氏が登壇。初診時より多くの歯が残根状態で、咬合崩壊を呈していた43歳男性患者に対する検査・診断を行ったうえで「Skeletal Class Ⅱ関係の改善」「残存歯の予知性と配置の問題」「上下顎骨の歯牙歯槽骨ごとの挺出」「補綴スペースの問題」の4点をプロブレムリストとして掲げ、それぞれの項目に対する治療方針やその可能性について論じた後に治療過程を提示。患者が望む治療期間などからすべての歯を抜歯し、トリートメントデンチャーによる咬合・顎位の模索を経たうえで、上顎に9本、下顎に9本のインプラント体を骨整形と並行して埋入して、上下顎ともに3ピースに分割したボーンアンカードブリッジを装着するまでの工程を示した。

 また、各演題の終了後には、大河会長をはじめとする日本臨床歯科学会東京支部の役員諸氏による演者らへの質問、助言が多くの時間を割いて与えられ、若手会員らに熱いエールを送る同学会の姿勢が垣間見えた。

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