2023年12月3日掲載

時宜に応じたプログラムを揃え、盛況に

令和5年度公益社団法人日本補綴歯科学会東京支部学術大会を開催

令和5年度公益社団法人日本補綴歯科学会東京支部学術大会を開催
 さる12月3日(日)、日本大学歯学部本館(東京都)において、令和5年度公益社団法人 日本補綴歯科学会東京支部学術大会(日本補綴歯科学会主催、萩原芳幸大会長)が開催され、281名が参集した。
 
 午前中の会場ではまず、開会式に引き続き一般口演延べ20題が行われ、口腔内スキャナーの各種応用やEBM(Electron Beam Melting:電子ビーム積層造形法)とSLM(Selective Laser Melting:レーザー粉末焼結積層造形)との比較、乾式電解研磨の応用といったテクニカルな話題から、訪問歯科診療における補綴処置の重要性といった実践的な話題までが並び、時流を感じさせる内容となっていた。

 引き続き午後には、特別講演と生涯学習公開セミナーが行われた。特別講演では、「インプラント時代におけるパーシャルデンチャーの意義を考える ―インプラントとRPDの共存とは―」と題して寺西邦彦氏(東京都開業)が登壇。パーシャルデンチャー成功の条件として、力のコントロールや咀嚼時・空口時双方での動きの少なさ、適切な前処置の必要性や人工歯の摩耗への対応などを示しつつ、その原則に則ることで長期経過を達成した症例を多数提示した。

 また生涯学習公開セミナーでは、「顎顔面補綴治療が達成する術後のQOL ―口腔外科が顎顔面補綴治療へ及ぼす影響―」と題して生木俊輔氏(日大歯学部口腔外科学第Ⅱ講座)が、「QOL回復を目指した顎顔面補綴治療の実際」と題して大山哲生氏(日大歯学部歯科補綴学Ⅱ講座)が相次いで登壇。生木氏は口腔外科の立場から、上顎の疾患が補綴に与える影響、下顎の疾患が補綴に与える影響、および口腔外科担当医・補綴担当医・歯科衛生士を含めたカンファレンスの要諦について述べた。また大山氏は、補綴科の立場から、顎顔面補綴の疫学と対象症例、顎顔面補綴の問診事項、顎顔面補綴の難易度の判定と解決方法、QOL回復を目指した顎顔面補綴治療の実際、の4テーマについて示し、生木氏とのチームによる多種多様な顎顔面欠損状態に対する対応を多くの症例を基に示した。

 なお、午後には市民フォーラムとして「睡眠時無呼吸症への歯科的対応」(浦田健太郎氏、日大歯学部歯科補綴学Ⅰ講座)も行われ、一般参加者を迎えて口腔内装置の適応や治療の実際、保険と自費による口腔内装置の違いなどが解説された。また、全演題終了後には会場を地下1階のラウンジに移して懇親会も行われ、こちらも盛況となっていた。

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