社会|2025年12月1日掲載

フッ化物応用を中心に公衆衛生の重要性を講師の浪越建男氏が語る

ミントセミナー特別講演会開催

ミントセミナー特別講演会開催

 さる11月30日(日)、KITENA新大阪(大阪府)において、ミントセミナー特別講演会(NDL株式会社主催、長谷ますみ代表取締役)が、講師に浪越建男氏(香川県開業、NPO法人ウォーターフロリデーションファンド理事長)を招聘し開催された。

 開会後、浪越氏による特別講演「フッ化応用の理解を深めて生涯を通じた口腔の健康につなげる」では、まず導入として歯学部時代から大学での研究や教育に携わった後、地元に戻って1994年に開業し、現在までの地域における歯科医療の取り組みを回顧。氏は、開業当初の地域の子どもたちのう蝕の多さに対応すべく、学生時代の恩師との出会いから集団的フッ化物洗口をはじめとする公衆衛生に注力した取り組みについて述べた。その結果、スタッフの協力によって日本一う蝕の少ない小学校として表彰されたことや、環境問題に関心が高い氏が近年人気スポットとして観光地化している父母ヶ浜(日本のウユニ塩湖として知られる)での日課としているゴミ拾いを続けながら撮影している多数の写真など、それらの内容が収載されたフォトエッセイ集『父母ヶ浜 2000日 花と自然を愛する歯科医師の足跡』(小社刊)も紹介した。

 また、世界と日本のう蝕率の状況について多数の資料を供覧するとともに、日本の子どものう蝕は減少傾向にある一方で、中高年層の残存歯の増加にともなうう蝕増加への対応法について言及した。そのうえで、公衆衛生的施策としてう蝕予防に効果的な集団的フッ化物洗口や、診療室におけるフッ化物応用による多数の症例を披露したほか、フロリデーションの必要性などにも言及し、参加者の注目を集めた。

 最後は、歯科医療従事者の専門家としてフッ化物に対する正しい情報や知識を得て発信していくことの大切さを説き、本セミナーは閉会した。

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