社会|2026年7月21日掲載
森末裕行氏、小田 憲氏が「Q&Aで疑問解決! 令和8年度歯科保険請求 虎の巻」をテーマにWeb講演
クインテッセンス出版株式会社、第91回WEBINARを開催
さる7月16日(木)、森末裕行氏、小田 憲氏(ともに東京都開業)によるWEBINAR #91「Q&Aで疑問解決! 令和8年度歯科保険請求 虎の巻」(クインテッセンス出版主催、モリタ共催)が開催された。
本セミナーでは、弊社刊『歯科保険請求2026』の内容、およびモリタ友の会会員限定の姉妹書『早わかり! ナビゲーションブック2026年歯科保険請求』に収載されたQ&Aを中心に、令和8年度診療報酬改定の要点を解説。保険請求に長く携わる森末氏に対し、開業後2回目となる診療報酬の大改定を迎えた小田氏が、日常臨床で生じる疑問を投げかける形式で進行した。算定機会の多い項目や見落としやすい変更点が実際の診療場面に即して取り上げられ、参加者が改定内容を自院の診療に置き換えて理解できる、実践的なセミナーとなった。
冒頭では、歯科初診料・再診料の増点と歯科外来物価対応料の新設について確認がなされ、初診料の注1の施設基準では、4年に1回の研修に抗菌薬の適正使用が追加されたこと、受講を証明する資料の保管が必要であることが示された。そのほかに新設された、電子的歯科診療情報連携体制整備加算1、2の施設基準や、改定後の「歯科外来・在宅ベースアップ評価料」について、新規届出と継続算定で点数が異なることなどが紹介された。
医学管理関連では、「歯科疾患管理料」について、1回目・2回目以降とも90点に評価が統一され、有床義歯に係る治療のみを行う患者では、傷病名がMTや義歯不適合等のみの場合も算定可能となったことについて解説。また「新製有床義歯管理料」の算定単位が1口腔から1装置に変更され、局部義歯・総義歯とも1装置につき140点となった。さらに新製義歯の着脱・保管方法等の説明は「新製有床義歯管理料」、口腔機能の回復・維持を目的とした義歯の調整・指導は「歯科口腔リハビリテーション料1」として整理され、同月・同日の併算定も可能となったことについてもふれられた。
画像診断関連では、同日に2枚目の撮影を行った場合の取り扱いが明確化され、根管充填後の状態確認を目的とするX線撮影などでは、診断料・撮影料を所定点数で算定できるようになったことが示された。
処置関連では、今回大きく変わった項目の1つとして、歯周病安定期治療と歯周病重症化予防治療は「歯周病継続支援治療(SPT)」に統合されたことについて解説するとともに、医科歯科連携による取組を評価する重症化予防連携強化加算の導入について紹介された。
また、歯髄温存療法、直接歯髄保護処置および生活歯歯冠形成を行う際に、表面麻酔、浸潤麻酔または簡単な伝達麻酔に使用した薬剤の費用を別途算定できるようになったこと、さらにテンポラリークラウン、ブリッジのリテーナー、歯周治療用装置の冠形態、暫間固定などが「暫間歯冠補綴装置(TeC)」に統合され、新たな評価として整理されたことなどの解説がなされた。
補綴関連では、大臼歯に対するCAD/CAM冠・CAD/CAMインレーの適応拡大や、CAD/CAM冠への光学印象の対象拡充、チタンブリッジの新設について解説がなされ、さらに、令和8年6月から期中導入されたCAD/CAMブリッジも取り上げられ、選択肢が広がる一方、ブラキシズムなど患者ごとの口腔内の状態をふまえ、慎重に適応を見極める必要があるとの指摘があった。
このほか、所定の有床義歯に歯科用金属芯を埋入した場合の「有床義歯補強加算」、人工歯の算定の1歯単位への見直し、クラスプ・大連結子への非歯科用金属材料使用の原則化など、見落としやすい変更点にも話題が及んだ。
森末氏は、今回の改定には細かな変更が数多く、Ni-TiロータリーファイルがCT撮影なしでも算定可能になるなど、講演で扱いきれなかった項目もあると強調。小田氏も、普段抱いていた疑問が解消され、あらためて同書で復習したいと述べた。制度の説明に終始せず、臨床で迷いやすい場面を具体的に掘り下げた本講演は、「知らなかったために算定できなかった」を防ぎ、明日からの保険診療を確かなものにする学びの多い機会となった。