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2021年8月1日掲載

人生100年時代に必要な男性学

勝ち組歯科医の皆さんへ(第8回)

勝ち組歯科医の皆さんへ(第8回)
第8回:10年後に選ばれる歯科医院であるために

勝ち組歯科医の先生方、家事や育児に積極的に参加していますか?
 歯科医師の先生方は家事や育児に積極的に参加していますか?「私は結構手伝っています!」と思われた先生方、残念ながらその認識は間違いです。世間一般的にそれらを「手伝う」という表現はじつはタブーなのです。その理由を説明したいと思います。

 家事や育児は、本来は夫婦2人でやるべきことですので、主体的に行動することは当たり前だからです。以前、NHKの「すくすく子育て」という番組に専門家の立場で出演させていただいた時に、司会者の古坂大魔王さん(現在は2児のパパ)から子育てに関するエピソードをうかがいました。奥さんに「何でも手伝うから言ってね!」と発言したところ、キレられてしまったみたいです。当初、古坂大魔王さんはその意味がわからなかったらしいですが、子育てに参加していくなかで少しずつその意味が理解できるようになり、野球に例えて「自分はママのような1軍選手になれないけど、2軍選手を目指そう」と思ったそうです。

 たとえば、歯科医院で働くスタッフは「手伝う」というスタンスではなく主体的に仕事をしていると思います。それと同じように一般的な奥さんやママからすると、家事にしても育児にしても「手伝う」という感覚はそもそも間違っていますので、心当たりのある男性は手遅れとならないように改めましょう。

 つぎに、子育てに関する発達心理学において、近年明らかになっている研究を少しご紹介します。生後3~6か月の赤ちゃんはだれにでも愛想良く振る舞うことがわかっています。特に、おっぱいをくれるママやお世話をしてくれる人に愛着(アタッチメント)行動をとるといわれています。そして、生後6か月から2~3歳になると、人見知りを始める時期がきます。この時期に育児にかかわっていないことは残念ですが致命的といえるでしょう。生後6か月ほどで赤ちゃんは自分にかかわってくれる人を見極めるらしいので「うちは里帰り出産しているから大丈夫」「妻が育児休業中だから大丈夫」とあぐらをかいている男性の皆さんは、取返しのつかない過ちを犯しているのです……。

 結局、自分がご飯を食べさせたりお風呂にいれたり、育児にかかわると泣いてしまったりトラブルになったりしてしまうからママしかできない、特に歯科医師の先生方は自分の子どもの歯みがきすらできないというのは、非常にイタいと思います。何でもママしかできないことが雪だるま式に大きくなっていくわけです。これでは不平等感が出てしまって当然でしょう。だからこそ父親として子どもから認められるためには、初期の段階から育児に積極的にかかわることが大切なのです。

 では、そのような父親はもうダメ男なのでしょうか? そんなことはありませんので、まずは落ち着いて諦めずに最後までお付き合いください。

 私自身、長男が生まれたときは恥ずかしながら前述したような失敗の連続でした……。一般的に育児は「『量』より『質』です」といわれますが、私の経験上では圧倒的に「量」です。当時、毎週火曜日は習い事のスイミングスクールの送迎を私が担当していて、帰りには長男が好きなお菓子を買って一緒に食べて帰るという時間を過ごしました。ただでさえママから相当な遅れをとっているわけですから、それは必死です。しかし、高級なお菓子を買ってあげてなんとか追いつこう!というような安易な考えではなく、子どもが頑張って泳いでいる姿(スマホとにらめっこしているパパは多いですね……)を見て、安価な駄菓子を一緒に選んで食べるという唯一無二の時間をつくった結果、今ではママよりパパっ子になりました(笑)。

 家事や育児の話ばかりになってしまいましたが、私が今回の話で何が言いたいかといいますと、お互いの信頼関係をつくっていくことが大事ということです。意外と軽視しがちな夫婦、両親と子どもとの関係、そして患者さんと先生、院長先生とスタッフ、スタッフとスタッフの関係も然りです。

 もちろん、普段から家事や育児に積極的にかかわっている先生方は、子どもの患者さんをはじめ、子育て中の母親やスタッフの気持ちを理解できるでしょうし、その気持ちにも寄り添うことができるのではないでしょうか。育児を経験しているかそうでないかは、歯科に限らず今後の社会の中でマネジメントを考える際に大きく影響します。

 最後に、第6回で有償労働と無償労働についてふれましたが、普段の生活から今回のような視点をもつことで歯科医院経営やスタッフのマネジメントに活かすことができます。コロナ禍で依然として先行き不透明な状況のなか、今から10年後に患者さんからもスタッフからも選ばれる歯科医院のために何ができるのか考えるとよいでしょう。勝ち組歯科医の先生方はもうおわかりですね♪

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