2022年8月26日掲載

「国内外の義歯安定剤ガイドラインに関する現状と課題」をテーマに

GSKヘルスパートナー登録者限定Webセミナー開催

GSKヘルスパートナー登録者限定Webセミナー開催
 さる8月26日(金)、GSKヘルスパートナー登録者限定Webセミナー(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社主催)が「国内外の義歯安定剤ガイドラインに関する現状と課題」をテーマに開催された。本セミナーでは、義歯安定剤研究の第一人者である河相安彦氏(日大松戸歯学部有床義歯補綴学講座教授)が演者として招聘され、EBMに基づく義歯安定剤の使い方について紹介された。

 講演ではまず河相氏より義歯安定剤の種類と材質について再確認が行われた。義歯安定剤は主に、義歯粘着剤(クリームタイプ・パウダータイプ・シートタイプ)とホームリライナー(クッションタイプ)に大別されるとしたうえで、材質などをふまえるとクリームタイプ・パウダータイプの使用が推奨されることを挙げながら、この2つのタイプを中心に解説された。

 次に、長寿社会にともない、義歯安定剤の使用が広がっている現状について言及。一昔前の無歯顎者は現役世代を含めた多様な年代で構成されていた一方、現在では半数近くが80代以上になっており、義歯安定剤の対象者が大きく変わっていることを指摘した。

 続いて、義歯安定剤ガイドラインの現状について紹介。1980年代ごろまでは義歯安定剤について否定的な論文が散見される傾向があったものの、1990年代以降になると臨床効果や適切な使用法などが検討されるようになってきたとのこと。それをふまえて、2019年に河相氏も参画した形でガイドラインが作成された。ここでは、義歯安定剤の役割はもちろん、義歯安定剤で義歯自体の問題は解決できないことも明記されており、義歯に問題が見られる場合は義歯そのものの新製やリラインなどが求められることも強調された。

 また、義歯安定剤に関するエビデンスとして、「義歯の維持安定に貢献するのか?」「咀嚼機能への影響は?」「口腔衛生状態に影響を与えるのか?」「患者の満足度は上がるのか?」といった項目をふまえてそれぞれ解説された。そのうえで、「義歯の良し悪しだけでなく、患者情報に基づいて義歯安定剤の使用について臨床的に判断していくことがさらに重要になるのでは」と今後の展望も語られた。

 講演後の質疑応答では、「ドライマウスの患者において義歯安定剤を使用する目安は?」など時間を超過するほど多数の質問が寄せられ、本テーマへの関心の高さがうかがえた。

 次回の同Webセミナーは、「歯周病と象牙質知覚過敏症」をテーマに、湯本浩通氏(徳島大大学院医歯薬学研究部歯周歯内治療学分野教授)を招聘し、きたる9月21日(水)に行われる予定。

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