2022年11月3日掲載

200名以上が参集し盛会となる

医療法人水上歯科クリニック、開院30周年記念特別講演会を開催

医療法人水上歯科クリニック、開院30周年記念特別講演会を開催
 さる11月3日(木)、福岡国際会議場(福岡県)において、医療法人水上歯科クリニック開院30周年記念特別講演会が開催され、200名以上の参加者が詰めかけた。水上哲也氏をはじめ、水上歯科クリニックの歴代勤務医の溝上宗久氏、平井友成氏、坂田憲彦氏、池上龍朗氏(すべて福岡県開業)と招待演者の金成雅彦氏(山口県開業)が「歯周治療の進歩について語る1日」をテーマに講演した。

 溝上氏は、「根面被覆量を予測する イタリアで学んだG.Z.メソッド」と題して講演。Giovanni Zucchelli氏(イタリア・ボローニャ大教授)の理論を用いて、コンタクトポイントからセメント‐エナメル境までの距離と歯間乳頭の位置から、根面被覆する際の最大根面被覆ラインを精緻に求め、結合組織移植片の設置位置やフラップの形状を決めて、根面被覆術を行った症例を紹介した。

 つぎに、平井氏が「1本の歯の保存へのこだわり 外科的歯内療法を駆使して」と題して講演。「上減歯列」の進行を食い止めるために、意図的再植、逆根管充填、スーパーボンド・MTAでの充填などを駆使して、根管治療難症例・破折歯症例に対処した症例を多数紹介した。

 金成氏は「日常臨床におけるEr,Laserの活用法 低侵襲な歯周再生療法における有効性」と題して講演。2020年に認可されたEr,Cr:YSGGレーザー「Water LASE」の特徴を紹介。骨欠損の掻爬にEr,Cr:YSGGレーザーを駆使して、Modified MIST、EPPT、Modified VISTA techniqueなどを用いて歯周治療、再生療法、根面被覆術などを行った症例を示した。

 坂田氏は「再生療法をより確実に成功させるために」と題して講演。不十分な歯周基本治療や患者のプラークコントロールで歯周外科・再生療法に臨んでも理想的な切開や治癒が望めないと述べ、歯周再生療法のポイントを解説。歯周組織再生療法と咬合調整を行って、歯周組織・咬合を改善した症例を紹介した。

 池上氏は「わかってきたリグロスの使いどころ 新情報 JACP学術委員会・臨床研究報告」と題して講演。臨床歯周病学会学術委員会の調査から歯周組織再生薬リグロスの治療結果(PPDの改善量、骨再生量)に影響を及ぼす因子について紹介。全層弁、減張切開なし、フラップを移動しない症例で良好な治療結果を示し、根分岐部病変で有効、骨壁数に関係なく有効、リグロス単体でも効果大で、骨補填材の併用も有効、とまとめた。

 最後に水上氏が「歯周治療の奥深さ、感動、そしてこれから」と題して講演。歯周病の病因論の変遷について述べ、多因子疾患としてとらえられている現状を解説。歯周外科、歯周再生療法の最新の潮流として、歯間乳頭にまったく侵襲を加えないコンセプトのmodified VISTAや、結合組織移植片を壁にする術式のconnected tissue wall techniqueなどを紹介した。

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