2025年11月号掲載
CHEERS!(第27回)
※本記事は、「歯科衛生士 2025年3月号」より抜粋して掲載。
知り合いの医院に置いてある、患者用の布スリッパがボロボロでした。端がちぎれ、糸がほどけています。私なら、気持ちが悪くて履きたくないと思う。何人もの患者さんの水虫みたいなのが染み付いているようにも見えます。「これ履くのか!?」と思いました。傷みは少しずつ進むので、毎日見ている院長はそれほど気にならないのでしょう。患者さんにもいますよね。こちらがギョッとするような前歯の変色。上顎4番の歯の喪失。患者さんはもう慣れっこなので「別に気になりません、もう若くないし」なんておっしゃるのですが、正直目が釘付けになります。待合室にあるボロボロの図書や何年も前から貼られているポスター。ブラケットテーブル上の、使い古された昭和な薬瓶や変色したコットンボックス。医療現場は清潔第一。患者さんからすると、不潔なだけではなく配慮がなく見えるんです。院長は「別に気にならないよ、新規開業の医院じゃあるまいし」とおっしゃいますが、患者さん、ギョッとしてますよ。「あそこの歯医者のスリッパ、気持ちが悪いのよ」という評判はすぐに広がります。そして、もう2度と汚名を払うことはできません。気持ちが悪いと思った患者さんは、もう2度とその医院には行きません。医院が心を入れ替えて改善しても、改善されたことを知ることはありません。そして、ずっとあの医院は気持ちの悪い医院であると言い続けられます。ボロボロのスリッパの評判は、ピカピカのスリッパに変わっても、ずっと続きます。