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2020年4月号掲載

第3回:認知症とは~4大認知症

※本記事は、「新聞クイント 2020年4月号」より抜粋して掲載。

「歯科医療3.0」で重要となる認知症へのアプローチ

 超高齢社会を迎えた日本は、Multimorbidity(多疾患罹患状態)の時代となり、歯科も「歯だけ、口だけを診ればよい」という臨床では限界がきつつあります。歯科臨床とまったく関連がない疾患は存在せず、「歯科だから知らなくてもよい」という疾患はありません。その中でも歯科医療3.0(編集部注:第1回を参照)として、口腔の機能障害を診ていくにあたり重要なのは認知症です。
 「〇〇さんは認知(症)だから」「認知(症)が進んだ」という会話をしたり聞いたりしたことがあるかもしれません。「認知症」とは、どういう疾患・病態のことをいうのでしょうか? 「高血圧だったら血圧に気をつけよう」、「糖尿病だったら血糖値や易感染性に気をつけよう」というのは、すぐ思い浮かぶかもしれません。では、認知症だったら……どんな病気で何に気をつければよいのでしょうか?

認知症は病名ではない?!

 認知症は、「後天的に脳が障害を受けることによって、いったん正常に発達した知能や認知機能(記憶や見当識を含む)が低下した状態」と定義されます。ここでポイントとなるのは、認知症は「状態」を指すコトバであり、「病名」ではないということです。専門誌などでは「認知症」の特集が組まれ、あたかも1つの病気を表すコトバのように思われますが、あくまで認知症は「症状名」なのです。「症状名」であるということは、その症状の原因となる「疾患・病気」が存在します。認知症は認知機能の低下という症状は共通するものの、それ以外の症状は原因疾患によってまったく異なります。「認知症」と一括りにして画一的に同じケアを提供していると、ある患者さんには効果があるけれども、原因疾患が異なる患者さんには逆効果ということもあります。本連載をきっかけにして「認知症」と一括りにするのはやめて、原因疾患ごとの対応を心がけましょう。

4大認知症とは

 認知症の原因となる疾患・病態は70以上あるといわれていますが、その中でも多いのがアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症で、これら4つを「4大認知症」とよび、全認知症の約9割を占めます。
 もっとも多いのはアルツハイマー型であり、全認知症の約50%を占めるといわれています。次いで多いのがレビー小体型で約20%、血管性は約15%、残りを前頭側頭型とその他の認知症が占めます(図1)。この割合は報告によっても異なり、複数の原因疾患が合併することもありますが、大まかなイメージとしてこの割合を覚えておくと、後述する原因疾患の推察に役立ちます。

原因疾患を推察するには「生活をみる」

 紹介状やカルテの病名(症状名)欄に「アルツハイマー型認知症」と書いてあることもありますが、その中には「認知症」としか書いていないものをみたことがある医療者もいると思います。その患者さんは認知症の原因疾患が不明(診断されていない)ということです。
 そのような患者さんに対しては、実際にケアにあたる医療者が原因疾患を推察しなければなりません(図2)。歯科医療者は「医師じゃないので診断はできない」と思われるかもしれませんが、「診断」をする必要はありません。「推察」をして、スタッフ同士で「今日の患者さん典型的なアルツハイマー型だね」「さっきの患者さんレビー小体型っぽいよね」という会話ができるようになれば、認知症患者さんの歯科治療・ケアの質は格段に上がります。
 また、原因疾患を推察するのであれば「脳のCTやMRIを撮らないと!」と思われるかもしれませんが、原因疾患の推察で大切なのは脳の画像を見るよりも「生活をみる」ことです。歯科は口腔ケアや食事といった生活をみる機会が多い分野ですので、他科よりも認知症の原因疾患の推察にはアドバンテージがあるともいえます。
 次回からは、原因疾患を推察し、それを歯科治療やケアに活かすために、4大認知症それぞれの特徴を解説していきます。


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