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2026年9月号掲載

リタイアを考え始めた時の必読書

【PR】 自分らしい歯科医師人生の 締めくくりと円満な引継ぎをかなえる!

※本記事は、「新聞クイント 2026年9月号」より抜粋して掲載。

 小社2026年6月の新刊として、森川敏行氏(税理士)による著書『歯科医院経営の強化書vol.2 歯科医院の円満な引継ぎ方・終わらせ方』が刊行されました。本欄では、本書の執筆背景や特徴、読みどころについて森川氏に語っていただきました。(編集部)

今、「歯科医院の承継」に焦点を当てる理由

 歯科専門税理士として約30年にわたり、歯科医院の経営を見続けてきました。ここ数年で、歯科医院を取り巻く環境が様変わりしてきていると感じます。1つは、団塊の世代の院長先生たちから、「あと5年くらいで辞めようかと考えている」「子どもに医院を引き継いでもらうには何をしないといけないのか」といった事業承継の相談が増えてきていることです。もう1つは、近年の開業費用の高騰です。以前は数千万円で済んでいた開業資金が、現在では8,000万~1億円に達することも珍しくありません。東京などの都市圏では、若手の先生が新規開業できる条件はより難しくなっています。そのため、「地元に帰って親の医院を継いだほうがよいのではないか」といった相談も受けるようになりました。本書は、そういった悩みを抱える先生方の参考になればという思いで、書かせていただきました。

歯科医院承継ならではの課題がある

 歯科医院の事業承継は、「親子間」のケースが8~9割を占めます。親子承継ならではの課題として、まずコミュニケーション不足があると感じます。たとえば、「どういう医院をつくりたいのか」「だれが決裁権をもつのか」「いつ院長を交代するのか」といったことをあいまいなままにしてしまうと、引き継いだ後になって「話が違う」とトラブルになってしまうことも多いです。このような摩擦を避けるためには、お互いにしっかりとコミュニケーションをとり、意見をすり合わせることが大切です。

 次に、借入金の問題です。簡単にいうと、親の医院の借入金はできるだけなくしておくことをおすすめします。たとえば借入金が半分以上残っていたり、新たに借り入れをしてしまうと、子どもが引き継いだ後に医院の経営を圧迫することがあります。親の借入金が多いほうが、相続税対策としてメリットがあるという意見もありますが、私としては継いだ子どもの医院の経営がしっかり成功することのほうが大事だと考えます。リタイアを考え始めている方は、一度は借入金の完済時期を確認しておくとよいでしょう。

 そして、もう1つにはタイミングの問題があります。親のほうは、引退したい年齢の4~5年くらい前から承継の準備を始めることが望ましいです。子どものほうは、35歳前後が開業に適した時期といえます。このタイミングが合えば良いのですが、現実にはずれることも多いです。そうなると、承継の仕方を柔軟に考えることも必要になってきます。本書ではそういった場合の対応を具体的なケース例で解説していますので、ぜひご参考いただければと思います。

「任せる覚悟」と「身を引く覚悟」

 さまざまな承継を見てきたなかで、うまく引き継がれているケースには、いくつか共通点があることに気がつきました。1つは、親が早くから決裁権を子どもに渡していることです。経営判断や人事、お金の管理もすべて子どもに任せて、「自由にやればいい、その代わり失敗しても自己責任だぞ」というスタンスのほうが、子どもに責任感が生まれて成長してくれます。

 もう1つ大事な点は、引継ぎの期限を決めておくことです。1年後か、2年後か、決めた引継ぎの期限が終わったら院長を交代します。なかには、「子どもが一人前になったら引き渡そう」と考える先生もいますが、それでは引継ぎが進みません。しっかりとした割り切りが必要です。

本書のこだわりポイント

 長年にわたり、歯科医院の経営を見ていると、開業してからどんな風に業績が上がってどんな風に終わっていくのか、“歯科医院のライフステージ”のパターンが少しずつわかるようになりました。

 本書のPART1では、このライフステージに沿って、生涯の資金計画や老後に必要な資金など、リタイアに向けて知っておくべきお金のことを中心に解説しました。PART2では、事業承継の難しさや医療法人化した場合としない場合の手続きや会計処理の違いなどについて述べています。PART3では、親子承継のプランニングについて、最後のPART4では、第三者承継とM&Aの具体例を紹介しています。主に親世代の先生方向けに解説していますが、引き継ぐ立場になる若手の先生方にとっても役立つ内容になっています。

これから医院承継を考える読者へのメッセージ

 本書では、医院の経営をバトンタッチする時に、どうすればいちばんうまくいくかというところに力を入れて書いていますが、そのベースには「歯科医師としてどう自分らしく人生を締めくくるか」というテーマを込めています。医院を子どもに継がせることだけが良い選択とは限りません。自分自身で最後までやり抜くのならそれも1つの美学です。本書が先生方1人ひとりにとって、自分らしい歯科医師人生の“終わらせ方”を考えるきっかけになれば幸いです。