2018年5月10日掲載

「自然・進化・未来~子どもよりたいせつなものはありますか~」をテーマに

第56回日本小児歯科学会大会開催

第56回日本小児歯科学会大会開催
 さる5月10日(木)、11日(金)の両日、大阪国際会議場(大阪府)において、第56回日本小児歯科学会大会(有田憲司大会長、木本茂成理事長)が「自然・進化・未来~子どもよりたいせつなものはありますか~」をテーマに開催され、2,000名以上の歯科医師・歯科衛生士らが参集した。

 初日は、Yeon-Mi Yang氏(全北大小児歯科教室)による招聘講演「Malocclusion and Risk for Sleep Disordered Breathing (SDB)/Obstructive Sleep Apnea (OSA) in Children」をはじめ、久保田 競氏(学校法人東洋学園国際医学技術専門学校)による特別講演1「脳を育む子育て法」や、歯科衛生士委員会企画セミナー、教育講演など充実したプログラムが組まれた。

 午後の、全国小児歯科開業医会(JSPP)企画講演「私の考える萌出障害の早期発見と治療」では、座長に石谷徳人氏(鹿児島県開業)、演者に徳倉 健氏(愛知県開業)、田中克明氏(佐賀県開業)、春木隆伸氏(兵庫県開業)の3名を迎え行われた。講演では、上顎埋伏犬歯の特徴が説明されたうえで、早期発見の重要性が説かれた。さらに、告知のタイミングとして、埋伏歯を発見した後となると、保護者や患者本人の治療への決心がつくまでの時間を要されることから、6歳頃から事前に注意喚起をし、信頼関係を構築しておくことの大切さも強調された。

 2日目は、学術賞・奨励賞受賞者講演、特別講演2のほか障害児委員会企画シンポジウム、社会保険委員会企画シンポジウム、女性小児歯科医委員会企画リレー講演、専門医・新認定医制度企画セミナー、市民公開講座が行われた。

 特別講演2では、歯科分野での講演は初となる武藤芳照氏(東大名誉教授)による「現代っ子の転倒予防―子どもと運動器を大切に―」と題する講演が行われた。「少子高齢化社会の進展から、究極の介護予防は元気な子どもたちを沢山育てること」としたうえで、現代社会における子どもと運動の二極化現象を問題にあげ、個々の条件に即した運動の質(種類)と量(時間、強度、頻度)を処方すべきだと示した。氏は一機能が突出したスカイツリー型ではなく、運動機能などベースを整えて高さを求めるという富士山型のスポーツ構造にしていかなければいけないと主張した。

 両日、数多くのランチョンセミナーや自由集会が企画されたほか、ポスター発表、企業展示も行われ、会場は終日熱気にあふれていた。

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