学会|2025年6月3日掲載
「生涯の確かな礎を目指して」をテーマに
第63回日本小児歯科学会大会が開催
さる5月29日(木)、30日(金)の2日間、朱鷺メッセコンベンションセンター(新潟県)において、第63回日本小児歯科学会大会(早﨑治明大会長、新谷誠康理事長)が開催された。「生涯の確かな礎を目指して」をテーマに掲げた本大会は、2日間で約1,500名が参集し、盛会となった。
初日には、教育講演1「周産期管理から小児歯科管理へ―咀嚼の基礎としての“吸啜”の意義―」(松原まなみ氏、朝日大学保健医療学部看護学科)、特別講演「みんなで障害児の歯科診療をやりませんか!」(野本たかと氏、日本大学松戸歯学部)、また、齊藤正人氏(北海道医療大学)の座長のもと早﨑氏、岡 暁子氏(福岡歯科大学)、石谷徳人氏(鹿児島県開業)が登壇してのシンポジウム「生涯の確かな礎を目指して」、日本、韓国、台湾の演者が登壇しての国際シンポジウムなどが行われた。
特別講演において野本氏は、障害児の歯科診療では、歯科を嫌いにさせない、負の学習をさせないことが重要であるとし、その児の障害特性に配慮した行動調整法を用いながら歯科診療での成功体験を積んでいけば、治療に適応できるようになると述べた。また、障害児の診療で応用される行動調整法は小児歯科診療で用いるものと同じであることやTell-Show-Doなどの各方法を障害児に用いる際のコツなどを解説しつつ、「皆さんも障害児の歯科診療に取り組んでほしい」と会場の参加者によびかけた。
2日目には、JSPP企画講演「地域から信頼される歯科医院への道~口腔機能の育て方を指導する力~」(土岐志麻氏、青森県開業・全国小児歯科開業医会会長)、教育講演2「医療的ケアなど特別な支援が必要な子どもたちに届ける小児歯科のニュー・ノーマル」(松野頌平氏、大阪府勤務)、浜野美幸氏(東京都開業)の座長のもと、内川喜盛氏(日本歯科大学附属病院小児歯科)および岩本 勉氏(東京科学大学)が登壇しての小児保健委員会企画セミナーなどが行われた。
JSPP企画講演では、「青森県小児歯科勉強会」の立ち上げやJSPP(全国小児歯科開業医会)とのつながりなど土岐氏の地域での活動のこれまでの歩みを紹介するとともに、地域で認められる歯科医院になるには低年齢からの定期健診の体制を整える必要があるとし、そのための方策や実際にどのようなことを診て、指導していけばよいのかを解説した。