政治|2025年6月16日掲載

歯科技工所に届出番号を付与することを厚労省に要望

日技、第14回社員総会および記者会見を開催

日技、第14回社員総会および記者会見を開催

 さる6月14日(土)、歯科技工士会館において、日本歯科技工士会(以下、日技、森野 隆会長)による第14回社員総会および記者会見が開催された。

 会場では、氏名点呼が行われた後、物故会員に対する黙祷が捧げられた。その後、高橋英登氏(日本歯科医師会会長)の代読として寺島多実子氏(同常務理事)による来賓挨拶ならびに森野氏による会長挨拶が行われた。

 寺島氏は高橋会長の再任にともなう新執行部発足の報告とともに、2期目への抱負を述べた。そして、歯科界に押し寄せるデジタル化の波とともに、伸び悩む歯科医療費や物価高騰にともなう経営・人材難の課題を挙げ、歯科界が大きな変革期にあることを強調。関係団体とも協力し、国に対して継続して歯科技工士の人材確保および養成の支援などの必要性を訴えかけ、歯科界のより良い未来に向けて積極的に活動することを表明した。

 森野会長は、歯科技工士の明るい未来のためにもネガティブな情報発信は行いたくないという思いを述べつつも、本人の意思にそぐわない不本意な形で長時間労働・低賃金で働いている会員がいる現状を吐露。「現状の課題に対して、着実に施策を講じていく。歯科技工士という仕事を発展・充実させ次の世代に引き継ぐためにも、お力添えいただきたい」と述べた。

 議案の決議事項では、第1号議案「2024年度会計収支決算報告承認の件」が上程され、議案が承認された。その後の報告事項では、特に歯科技工所の安全管理対策の推進として、法令を遵守した歯科技工所にて歯科技工が実施されていること、ならびに歯科医療機関から委託された歯科技工所で歯科技工が実施されることを担保するべく、開設届出が提出された歯科技工所に届出番号を付与する要望を厚労省に提出したことが共有された。また、山下茂子副会長より広報事業関連報告が行われ、4月号より広報誌「日本歯技」のリニューアルに加えて、国民を対象に歯科技工士の職の認知向上を目的としたリーフレット「歯科技工士のお仕事」、地域組織事業を盛り上げる「のぼり」「タペストリー」(貸し出し可能)の制作など、風向きを変えようとする精力的な取り組みがアピールされた。

 社員総会終了後には記者会見が行われた。なかでも歯科技工界の諸問題の改善に向けて活動している3団体(日技、全国歯科技工士教育協議会、日本歯科技工所協会)に日本歯科医師会も含めた4団体による協議会の内容や進捗について言及された。特に議題に挙げられた歯科技工を取り巻く課題解決の突破口として一部団体から要望の上がっている歯科技工士の職域拡大について、3団体として今後検討の余地を残しつつも「現段階では職域拡大を望んでいない」と結論づけ、優先すべきは「処遇改善や人材確保」と方針を固め、今後も3団体が共同して改善を求めていく姿勢を示した。

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