社会|2025年6月18日掲載

古屋純一氏が「義歯と嚥下でつなげる高齢期の食支援と口腔機能管理」をテーマに講演

S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会)、Webセミナーを開催

S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会)、Webセミナーを開催

 さる6月17日(火)、S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会、中尾 祐会長)によるWebセミナーが開催され、歯科医療関係者を中心に40名以上が参加した。

 今回は外部講師として招聘された古屋純一氏(昭和医科大学大学院口腔機能管理学分野)による講演「義歯と嚥下でつなげる高齢期の食支援と口腔機能管理」が行われた。

 開会後、古屋氏は高齢期の食支援の考え方として、超高齢社会のなかで歯科医師は訪問でも外来でもジェネラリストとスペシャリストとして口腔健康管理が求められていると述べ、そのうえで患者さんを中心とした医療と介護の中でのチームアプローチの大切さを説いた。

 多職種連携については、生活を支える医療だからこそ、医療の中の枠組みの1つとして歯科があるべきと述べ、高齢期の食・生活支援を口腔機能管理と口腔衛生管理を通じて行うためには、訪問診療においては医療従事者だけでなくケアラーや家族もそのチームの一員としてとらえる考え方を示した。また、訪問診療のゴールは患者・家族と医療者の双方が納得できる「よい塩梅の落とし所」とし、歯科の仕事は「食の楽しみを加えること」と述べた。そして、よい義歯の装着が咀嚼だけでなく嚥下にも影響するなど、自身がかかわった多数の論文や症例、動画を供覧し、わかりやすく解説した。

 最後に、高齢期の食支援に求められる口腔機能管理として、1)摂食嚥下障害の予防、2)ステージにあわせた治療+支援の歯科医療――の2つのストラテジーを提示。前者においては、元気な時から口腔機能を維持(貯金)するオーラルフレイル予防・対策が不可欠とし、後者においては年齢とともに衰えてきた時の口腔機能の貯金を引き出すための歯科治療と多職種連携による食支援の必要性などを挙げ、その人らしい食べる楽しみをサポートする歯科の果たすべき役割についてまとめた。

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