社会|2025年6月23日掲載

「歯ブラシを極める―歯ブラシを深く知ると歯科臨床が変わる!―」をテーマに

はみがき学の会総会開催

はみがき学の会総会開催

 さる6月22日(日)、日本医歯薬研修協会・東京校(東京都)において、スタディグループ「はみがき学の会」総会(高柳篤史代表)が開催された。本会は、歯磨きなどのセルフケア行動に関して科学的に検証を行い、日常臨床に活かしていくことを目的に月1回の例会や年1回の総会を基本として活動している。今年の総会では、「歯ブラシを極める―歯ブラシを深く知ると歯科臨床が変わる!―」をテーマに開催された。

 講演1では、高柳氏(埼玉県開業)が「個人のはみがき特性に合わせた歯ブラシの選択」と題して登壇。教科書などで紹介されている「使用しやすい歯ブラシの特徴」や、歯科医療従事者にとって使いやすい歯ブラシが、患者にも適しているとは限らないとし、患者の口腔内状態だけでなく、生活背景や手指の器用さなども考慮した歯ブラシ選びの重要性を強調した。そのうえでさまざまな歯ブラシの特徴と選定ポイントを具体的に紹介した。最後に氏は、「有効性」という言葉には複数の意味があり、「費用対効果を考慮した場合に到達可能な有効性」なのか、「日常生活における種々の条件を考慮した場合の有効性」なのか、「考えうる最良の条件で用いたときに得られる有効性」なのかを考えたうえでブラッシング指導や道具の選択をしていくべきだとした。

 講演2では、山岸 敦氏(東京歯科大学客員講師)が「歯ブラシ選択の主役は“かたさ”だと知ってる?!」のテーマで登壇。歯ブラシのパッケージに表示される「かため」「ふつう」「やわらかめ」などの毛の硬さが、どのような基準で決定されているのかを解説したほか、毛の硬さや歯面の状態によって歯ブラシのストローク時の感覚がどう異なるのかを、実習を交えて体験的に示した。そして、パッケージの表示と実際の使用感とのギャップや、歯面と毛の接触への影響についての理解を促した。

 最後に同会の活動報告として荒木萌花氏(歯科衛生士)が調査した「インターネット上の口腔保健情報に関する実態調査」を発表。インターネット上で使用される歯科用語の状況から、予防や疾患に関する情報を適切に届けるためには、言葉の選択も考慮すべきとした。

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