学会|2025年6月25日掲載

「21世紀の齲蝕治療の展開」をテーマに

第6回象牙質歯髄治療学会学術大会が開催

第6回象牙質歯髄治療学会学術大会が開催

 さる6月21日(土)、東京科学大学湯島キャンパス(東京都)において、第6回象牙質歯髄治療学会学術大会(島田康史大会長/吉山昌宏会長)が「21世紀の齲蝕治療の展開」をテーマに開催され、全国から50名以上が参加した。

 学会長講演として、吉山氏(岡山大学名誉教授)が「象牙質知覚過敏の最新治療」と題して講演。まず象牙質知覚過敏の定義として、(1)1~2秒の一時的な疼痛、(2)露出した象牙質がある、(3)刺激が加わると誘発する、(4)温度、乾燥、擦過、浸透圧の変化、化学的刺激で発症する、(5)そのほかの異常や病理的要因がない、と述べた。これらの多くの症例は、非侵襲性治療(リスクファクターの除去、プラークコントロール、酸性飲料に関する患者教育、ブラッシング方法の改善)、知覚過敏用歯磨剤(ホームケア)、知覚過敏用薬剤(オフィスケア)といった一般的な治療法で治療できると解説。それでも治癒しない1~2割ほどの患者には、レジン充填、LLLT、根面被覆といった侵襲性治療が必要と、象牙質知覚過敏の治療フローを解説した。

 続いて特別講演として、興地隆史氏(日本歯科大学生命歯学部歯科保存学講座教授)が「vital pulp therapyの潮流」と題して講演。vital pulp therapyは、AAE(2013)の歯髄炎の診断基準やWalterの基準(2020)を用いて、適応を判断する、と解説。非感染(外傷)による露髄、若年者、封鎖範囲が小さい例ではvital pulp therapyの成功率92%だが、感染露髄、成人、封鎖範囲が大きな例では成功率33%と、差があるという。覆髄法には、間接覆髄法と暫間的間接覆髄法(IPC)、断髄法には、部分断髄、歯頚部断髄があり、顕微鏡での視診を要し、断髄法の臨床成績は、抜髄≒歯頚部断髄≧部分断髄であったと解説した。

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