社会|2025年12月2日掲載
アライナー矯正やインプラント治療などに関するさまざまな講演が行われ、約300名が参集
Global Dental Wing 2025開催
さる11月29日(土)、30日(日)の両日、戸田ホールカンファレンス(東京都)において、Global Dental Wing 2025(主宰:山﨑長郎氏、尾島賢治氏)が約300名を集めて開催された。本会はグローバルに日本の臨床歯学を広めたいという意思をもって企画されたもので、「日本から世界へ発信する力を」、「若い世代へ可能性を繋ぐ」をキーワードに催された。
初めに、山﨑氏(東京都開業)が「修復治療の過去と現在と未来形とは」と題して、日本の歯科界の修復治療の変遷を解説し、特に2020年代においてはsleep dentistryの高まりに焦点を当て気道を拡大した症例を供覧した。
その後、奥田浩規氏(兵庫県開業)が「The Potential of Immediate Implant Placement in the Esthetic Zone」の演題で、抜歯即時埋入の適応症や単独歯における抜歯即時埋入の基本事項について症例を交えながら解説した。そして、唇側骨が裂開した症例であっても隣在歯のアタッチメントロスがなければ良好な結果が得られるとし、アタッチメントロスがある場合においても再生療法を併用することで経過良好となる可能性は十分にあると説いた。
続いて、粟谷英信氏(兵庫県開業)が「A Digital Revolution Fill-Arch Implant Rehabilitation」と題して、ダイナミックナビゲーションシステムをはじめとする各種デジタル機器を活用して治療期間の短縮や低侵襲化を図り、ボーンアンカードブリッジで治療した症例を供覧した。
午後には、千葉豊和氏(北海道開業)が「インプラント治療におけるトリートメントワークフローの変遷」の演題で講演を行った。今後フェイシャルスキャンや口腔内スキャンデータ、CTのスーパーインポーズによる検査・診断は、従来の診断用ワックスアップに取って代わる手法となるであろうと話し、印象採得においてはベリフィケーションインデックス自体のスキャンを行い、スキャンボディを歯科技工所で行うことにより今後さらなるチェアタイムの時間短縮が可能となるとまとめた。
そして、中野忠彦氏(東京都開業)は「Advantages of Periodontal Microsurgery in the Esthetic Zone」と題して、マイクロサージェリーで根面被覆を行った症例を供覧し、その有用性について低侵襲で血液供給にすぐれ治癒も早いことが挙げられるとした。
2日目には、丹野 努氏(栃木県開業)が「Ortho-Implant Therapy ―Beyond the Limits」、湯口晃弘氏(北海道開業)が「Goal Setting and Treatment Strategy for successful Esthetic Implant Treatment」の演題でそれぞれ講演を行った。丹野氏は、矯正とインプラント治療のタイミングや、矯正治療を用いた再生療法、矯正的組織造成法について解説し、矯正とインプラント治療を最適なタイミングで行うことで従来の限界を超える治療成果を達成でき、患者のQOLの向上に大きく貢献するとした。湯口氏は、インプラント治療における成功の基準を整理したのち、単独歯ならびに多数歯の抜歯即時埋入の症例を供覧。患者の審美的な要求をよく確認してからゴール設定をすることが重要だと話した。
そして、浅賀勝寛氏(埼玉県開業)は「前歯部のインプラント治療とインハウスアライナー(Graphy Aligner)の同時アプローチ」を演題として、アライナー矯正を併用してインプラント治療を行った単独歯症例を供覧。また、DTX Studioによって検査・診断がよりわかりやすく、治療期間の短縮にもつながり有用だとした。
さらに、橋村吾郎氏(東京都開業)は「Full-Mouth Implant Rehabilitation with Digital Workflow」の演題でザイゴマインプラント治療を行った症例を供覧し、検査・診断をきちんと行ったうえでザイゴマインプラント治療は10年以上の経験を重ねてあくまでリカバリーで行うものだと警鐘を鳴らした。
そのほか、アライナー矯正に関する講演が行われ、企業展示も含め盛会となった。なお次回は、きたる2026年11月21日(土)、22日(日)の両日、同会場にて開催予定である。