学会|2026年6月15日掲載
「臨床歯科における羅針盤―顎咬合学―」をテーマに
第44回日本顎咬合学会学術大会・総会が開催
さる6月13日(土)、14日(日)の両日、東京国際フォーラム(東京都)において、第44回日本顎咬合学会学術大会・総会(金沢紘史大会長、理事長)が、「臨床歯科における羅針盤―顎咬合学―」をメインテーマに開催され、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士ら4,050名(速報値)が参集した。
開会式では金沢氏(東京都開業)が開会の辞を述べ、本大会が単なる研鑽の場にとどまらず、参加者間の交流を深める場となることへの期待を示した。続いて、本学会に多大なる功績を残した会員に贈られる保母賞の授賞式が行われ、本学会前理事長である貞光謙一郎氏(奈良県開業)が受賞した。
開会式の後には、Jonathan H Do氏(米国開業)による「インプラントにおける新たな生物学的合併症“Perigraftitis”とは?」と題した特別講演が行われた。Do氏は、インプラント周囲炎がインプラント体や粘膜貫通部のアバットメントに細菌が定着することで引き起こされるのに対し、Perigraftitisは移植骨あるいは骨移植材へ微生物が定着することによって生じる炎症反応であると定義し解説した。この感染源が異なる炎症へ適切に対処するための知識としてエックス線写真および病理組織学的所見を示すとともに、感染移植骨の除去による治療の可能性や予防の重要性を示した。本大会ではDo氏は他にも、プラスティックサージェリーに関する「天然歯とインプラント周囲の軟組織増大のGold Standard、結合組織移植を追い求める」、歯周治療における歯科衛生士の役割に関する「歯科医師と歯科衛生士が協働で行う歯周治療と患者教育」の計3講演を行った。
特別講演の後半では、秋山弘子氏(東京大学)による「長寿社会に生きる」、藤井元宏氏(愛知県開業)による「噛める義歯が生活を変える―その価値と可能性」、藤井みづき氏(歯科衛生士、藤井歯科医院)による「患者の生活を考える 咀嚼リハビリテーションと歯科衛生士の意義」、鄭 繼祥氏(台湾開業)による「より良き太平洋を目指す 義歯のリマウント調整法における地方創生」が行われた。秋山氏は、日本が迎えた超高齢社会において高齢者の歯科的課題の克服が国民の健康の鍵を握ることを指摘した。一方その課題克服の実践例として、藤井両氏は義歯リマウント法を用いた咀嚼機能や全身状態の改善の実際を示し、こうした口腔機能の回復や栄養状態の向上が高齢者のQOL向上に寄与する可能性を示唆した。鄭氏は台湾における義歯リマウント法の実践を通じ、同法が超高齢社会に共通する課題の解決に寄与しうることを示した。
他にも、顎咬合学、歯周外科治療、インプラント治療、補綴治療、矯正歯科治療、医院経営、小児歯科治療、AIの活用、歯科衛生士・歯科技工士向けプログラムなど本学会らしくバラエティに富んだ多くのセッションが行われ、盛会裏に幕を閉じた。
次回、第45回日本顎咬合学会学術大会・総会は、きたる2027年6月12日(土)、13日(日)の両日、同会場において、金沢紘史大会長のもと、「歯科臨床における羅針盤Ⅱ―エビデンスと経験則で考える顎咬合学―」をテーマに開催予定である。