学会|2026年9月1日掲載
「矯正治療患者における歯周組織のマネジメントの再考」をテーマに
日本包括的矯正歯科学会(JIOS)、第17回学術大会を開催
さる8月30日(日)、野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都)において、日本包括的矯正歯科学会(JIOS、行田長隆大会長、綿引淳一代表理事)による第17回学術大会が、「矯正治療患者における歯周組織のマネジメントの再考」をテーマに開催された。
本大会では、矯正治療で遭遇することの多いトラブルとして歯肉退縮に焦点を当て、そのリスクマネジメントや治療の実際、歯周外科との連携などについてプログラムが組まれ、一般歯科医、矯正歯科医を中心に約70名が参集した。
まず午前の特別講演では、尾野 誠氏(京都府勤務)が「下顎前歯部歯肉退縮に対する根面被覆術―同部位の特殊性と術式選択における考慮点―」と題して講演。上顎前歯部と比べて治療難易度の高い下顎前歯部における根面被覆術のポイントを解説した。また、歯周外科治療を行うタイミングとして、すでに歯肉退縮があるまたはリスクが高い患者には矯正治療前に外科的介入を行うこと、歯の捻転や挺出、歯根の突出がある患者には矯正治療後に介入することが望ましいとした。
続く教育講演では、和田明大氏(東京都勤務)が「矯正治療において機能する歯周組織の獲得のために―歯周治療の変遷とこれからの専門医連携を探る―」と題して講演。矯正治療にともなう歯肉退縮の予防には、適切な診査・診断に基づく治療計画の立案が重要としたうえで、歯周外科との連携を検討すべき症例や連携のタイミング、連携時のポイントなどを解説した。
午後には会員発表が行われ、小室 敦氏(東京都開業)が「下顎後退を伴う骨格性Ⅱ級1類不正咬合症例に対し側貌の改善を考慮した一症例」、周藤 巧氏(広島県開業)が「下顎側切歯先天欠損を有するAngle classⅡ再矯正患者に対してO-PROを適用した一症例」、林 宏規氏(岡山県開業)が「包括的矯正治療における装置選択の基準―アンカレッジおよび移動様式のバイオメカニクスを考慮した2症例―」を講演した。小室氏と周藤氏は、それぞれに矯正治療に関連して歯肉退縮が生じた症例への対応と治療経過を発表。林氏は、歯周トラブルを有する2症例に対して行った包括的矯正治療を供覧し、各種矯正装置の力学的特性に基づいた選択のポイントを解説した。
そのほかパネルディスカッションの時間が設けられ、一般歯科、矯正歯科の垣根を越えた活発な意見交換が行われ、充実した1日となった。
なお第18回学術大会は、きたる11月29日(日)に同会場において「成人の包括的矯正治療―顎顔面へのアプローチと矯正・補綴の協働―」をテーマに開催予定である。