社会|2026年9月3日掲載

「アライナー矯正の予知性を高めるアンカースクリュー活用戦略」をテーマに

第15回Diamond Study Club for Invisalign開催

第15回Diamond Study Club for Invisalign開催

 さる9月1日(火)、第15回Diamond Study Club(牧野正志氏〔千葉県開業〕、東野良治氏〔東京都開業〕、竹内敬輔氏〔愛知県開業〕主宰)がWeb配信にて開催された。今回は牧野正志氏がモデレーターを務め、講師として大谷淳二氏(愛媛県開業)が「アライナー矯正の予知性を高めるアンカースクリュー活用戦略」をテーマに講演した。

 大谷氏は、個人的にはアライナーでは歯を動かしにくいと感じているとしたうえで、そうしたアライナー矯正治療では、単に叢生や転位歯といった目に見える問題を改善するのではなく、「なぜその不正咬合が生じているのか」をとらえ、正常咬合に至るまでの歯の動かし方を具体的に言語化することが重要であるとした。上顎歯列の叢生を例に挙げ、第一大臼歯の近心方向への捻転、それにともなう小臼歯の近心方向への傾斜や歯列弓の狭窄などを一連の変化としてとらえたうえで、どの歯を、どの方向へ、どの順序で動かすのかを治療計画用ソフトウェア上で具体的に指示する必要性を解説した。また、VTO(visual treatment objective)を用いて治療目標と各歯の移動量をあらかじめ明確にし、治療途中にも当初の地領計画と実際の歯の動きとのずれがないかを確認することが重要であるとした。

 さらに、治療目標は術者だけが理解していればよいものではなく、患者との共有も重要であると強調した。従来の二次元的なVTOだけでは、術者が考える審美的な治療ゴールと患者が期待する口元との間にずれが生じる可能性があるとして、フェイススキャナーによる三次元シミュレーションを紹介。正面や斜めを含むさまざまな方向から治療後の顔貌を提示することで、患者が望む口元と治療目標を事前にすり合わせることの意義について述べた。

 続いて、アライナー矯正治療に歯科矯正用アンカースクリュー(OAS)を併用した大臼歯の遠心移動について、複数の症例を供覧しながら解説した。大臼歯が近心方向へ傾斜している症例では、アップライトによって一定の改善を得やすい一方、歯軸がすでに直立している場合や後方スペースに余裕がない場合には、アライナーによる遠心移動には限界があるとした。実際に遠心移動を継続したものの第二大臼歯が骨に近接し、それ以上の移動が困難となった症例も提示し、「何でも遠心移動で治そうとしない」ことの重要性を示した。また、OASの植立位置や牽引方向、反作用を抑える固定法などについても具体的に説明し、症例ごとに力系を組み立てる必要性を述べた。

 質疑応答および牧野氏とのディスカッションでは、抜歯の適応基準やアライナーと固定式装置の使い分けについても議論された。大谷氏は、前歯の歯根を大きく移動させる必要がある症例など、アライナーでは歯の位置や口元の変化を十分にコントロールしにくい場合があるとし、求める治療ゴールによっては固定式装置を選択する必要があると説明するなど、ていねいな回答をもって講演を締めくくった。

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