口腔の健康づくりの周知啓発活動に取り組む

2022年11月号掲載

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2022年11月号掲載

口腔の健康づくりの周知啓発活動に取り組む

「食べることは生きる力を支えること」を広く伝えたい

 わが国では平均寿命と健康寿命の差を縮めるために、さまざまな取り組みが社会全体で広がっている。そんななか、一般社団法人「口の健康と食べる力を支える会」の理事であり主宰者の1人である早田雅美氏は、25年以上にわたる在宅を中心にした認知症の両親の介護経験から「いつまでも笑顔でおいしく食べる」ことの大切さを発信しつづける。本欄では氏に、同会を設立した目的と今後の事業展開についてうかがった。

早田:本会は、代表理事の今村 聡先生(医師、前日本医師会副会長)や大久保満男先生(歯科医師、元日本歯科医師会会長)をはじめとする医師、歯科医師の協力のもと、本年1月に設立しました。本会の目的は、国民の皆様が生涯にわたって健康な口で食べられる生活を送ることの大切さを国民に広く訴え、それを国民運動として発展・醸成させることです。そのための情報提供ならびに広報事業、支援員の養成事業などを展開していきます。

 人生100年時代といわれるなか、将来にわたる健康維持に不安をもっている人は多数います。なかでも、口の健康(しっかり噛んで、味わう・飲み込むなどの機能や衛生状態など)が全身の健康と深いかかわりがあることは、今や常識となりつつあります。正しい知識に基づいた注意や努力を続けることで、介護予防・重症化予防にも大きな効果が期待されています。

 そこで本会では、「口腔健康サポーター」と名づけた市民講座(動画)を11月下旬から展開していきます。今後、日本医師会や日本歯科医師会、日本看護協会、介護関連団体の応援をいただき、代表理事の先生方をはじめとする医療や介護などの分野で活躍する有識者の知見を動画教材としてまとめ、市民の皆様にお伝えしていきます。わが国の高齢者の健康寿命を少しでも延ばし、大切な介護予防、重症化予防につながる可能性の高い分野として、医療・介護従事者はもとより市民の皆様と一緒にこの運動を育てていきたいと考えています。

 2023年からは、地域の歯科医師会、医師会、自治体と協力し合いながら市民へ口腔の健康維持の大切さ、かかりつけ医やかかりつけ歯科医の大切さを啓発していきます。また、これから定年を迎える退職予定者の皆様に向けてオーラルフレイル予防をはじめとした情報を企業や健保組合、健診機関などにも提案していきます。さらには、ご家族の介護をされていらっしゃる方、歯科専門職ではなくても介護、看護従事者の皆様にも、質の高い情報を提供して口腔への関心と知識を広げていただきたいと思っています。

 「食べること」は「生きる力」を力強く支えます。口腔の健康と健康寿命の延伸のためにそれを広く伝えることが、わが国の最大の課題である要介護者の増加を解決する1つの大切な行動だと私たちは信じています。ぜひとも本会の活動にご理解・ご賛同をいただければ幸いです。
https://kuchinokenko.org/