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2023年7月17日掲載

日本臨床歯科学会東京支部、2023年度 第1回 ステップアップミーティングを開催

日本臨床歯科学会東京支部、2023年度 第1回 ステップアップミーティングを開催
 さる7月17日(月)、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都)において、日本臨床歯科学会東京支部(大河雅之会長)による2023年度 第1回ステップアップミーティングが開催された。COVID-19感染症の影響により、この2年あまりはWeb開催のみであった本ミーティングであるが、今回からはWeb配信と現地でのハイブリッド開催となり、Web配信の視聴者が約100名、現地参加者が約50名参集するなど盛会となった。

 演題、演者および概要について以下に示す(講演順)。

1)「臼歯部欠損・歯列不正を有する患者に対し部分床義歯を用いて咬合再構成を行なった症例」平澤正洋氏(東京都勤務)、高山祐輔座長(神奈川県開業)
 本演題では、「入れ歯の噛み合わせが悪い」ことを主訴に来院した55歳女性患者について症例を供覧。下顎両側第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯の6歯を喪失し、ノンメタルクラスプデンチャーが装着されていた状態からの検査・診断・治療計画を示し、クラウンと部分床義歯を用いて補綴的に咬合再構成を行った過程について詳説。矯正歯科治療やインプラントの活用も考慮されるなか、患者の希望にあわせていかに補綴治療のみで理想に近づけるか、また新製した部分床義歯の構造やマウスプレパレーションの戦略などがディスカッションのポイントとなった。

2)「上顎臼歯部欠損にインプラントを用いて咬合再構成を行なった症例」山口宜伸氏(東京都開業)、長谷川幸生座長(静岡県開業)
 本演題では、「入れ歯が噛みにくくて嫌」「身内にインプラント治療を受けた人がおり、自分もインプラントにしたい」といった主訴で来院した64歳女性患者について症例を供覧。咬合高径の低下、バーティカルストップの欠如、広汎型軽度慢性歯周炎、および審美障害といった問題点を抽出し、フェイススキャナーを活用した補綴治療計画、またCOVID-19感染症の影響よりプロビジョナルレストレーションを装着したまま1年が経過した後の観察および対処、そして口腔内スキャナーとCT、および診断用ワックスアップをスキャンして得られた三次元データの重ね合わせをクラウンレングスニングのための指標とした点などを交えつつ、最終補綴装置装着までの過程を示した。

3)「デジタルソリューションを利用したインプラントボーンアンカードブリッジの1症例」阿部公成氏(愛知県勤務)、遠藤元気座長(神奈川県開業)
 本演題では、「入れ歯でうまく噛めない」「前歯が痛い」ことを主訴に来院した72歳男性患者について症例を供覧。骨格性2級の上顎前突、前歯部過蓋咬合、右側臼歯部は交差咬合を呈し、また上下顎の大臼歯部は欠損していたという状況、および以前製作された部分床義歯は使用されておらず、患者が年齢や体力的な理由から追加の処置を望まなかったことから、段階的に抜歯およびインプラント埋入を繰り返し、13か月で治療を終了するまでの過程を示した。また、補綴装置の設計においては演題のとおり、各種3Dデータをスーパーインポーズし、可及的に術後の形態をシミュレーションする試みが示された。

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