2020年6月号掲載
【きく屋 本店(東京都中央区)】いざ! 日本酒と和食の美味を味わいに!

2020年春、大切な方々との食事会に今回紹介する「きく屋」を精選した。
まずは活性純米酒の「刈穂」で乾杯。お米の原料香味と微発砲のシュワシュワ感が舌上に咲く。先付は春の到来、タラの芽と春子鯛。後に続く温野菜、お造り、温物どれも旨い。ひと皿ごとに日本酒が変わる。銘柄は「鷹勇」「作」「飛露喜」「越前岬」と進む。どれも純米酒だが、酵母や醸し、酒米の違いで味や香り、質感がまったく異なり、酒猪口ごとに、蔵人の信念を感じる。
トラフグの白子焼きには、酸味の効いた綿屋の「雄町」。焦げの香りと弾力のある表皮からとろけだす甘味と旨味がたまらない。珍味のばちことからすみには、山廃の神様「農口」と「常きげん」の組み合わせ。幸せの余韻が広がる。強肴の牛ヒレと牛ほほには「神亀」で締める。本日の「神亀」は日本酒の概念を根底からくつがえす昭和56年もの。かどが取れ熟成した深みの極み。食事の蕎麦は香りと喉ごしを粋に手繰る。「生きててよかった」と全員大満足である。