2019年3月24日掲載
Prof. Renvertを招聘しインプラント周囲病変の新定義などを詳説
株式会社インプラテックス、ITX SUMMIT 2019開催
演者には弘岡秀明氏(東京都開業)、Prof. Stefan Renvert(スウェーデン)、古賀剛人氏(千葉県開業)、越智守生氏(北海道医療大教授)、椎貝達夫氏(東京都・栃木県開業)、三好敬三氏(東京都開業)の6名が招聘された。トップバッターは弘岡氏で「インプラント周囲病変とは?」と題して登壇。つぎに「Treatment and risk management of peri-implant disease」(2度登壇)と題して講演したProf. Renvertとともに「the Quintessence」2018年10月号の内容を踏襲したもので、インプラント周囲病変の新しい定義と健康なインプラント周囲組織の状態をおさらいし、インプラント周囲粘膜炎の段階での早期発見・早期介入が重要であり、インプラント周囲炎まで進行してしまうと、炎症の除去は難しいことが示された。また、その診断にはやはりプロービングが重要で、インプラントの上部構造を外しての測定が正常値をとれると推奨した。『Peri-implantitis』(小社刊)の著者と訳者が書籍の内容に最新情報を加味してまとめたものとなった。
また、古賀氏は「Peri-implantitis予防・対処を意識した植立手術と治療計画」と題して講演。24年経過症例を閲覧しながら、予防・対処を意識し、外科・非外科処置による対応などの選択基準が示された。つづいて登壇した越智氏は「外科・補綴プロトコルを変えないインプラント選択のメリット」と題し、冒頭の自身の大学の紹介につづき、インプラテックスのインプラントシステム「InterActiveTM」と「Swish System」を解説した。椎貝氏は「脆弱な骨に対するシステマチックな対応法」と題して、インプラント植立部位の頬側の骨増生について言及。既存の皮質骨を活用すること、埋入方向が重要としたうえで、自身が開発した骨幅径拡大・抜歯即時埋入に有用な「T’sボーンスプレッディング」を紹介した。最後に登壇した三好氏は「ピエゾサージェリー及びK2キットを活用した低侵襲なインプラント治療」と題して講演。低侵襲な治療が叫ばれて久しい昨今、低侵襲なバーティカルサイナスアプローチ、ピエゾサージェリー、そしてこちらも自身が開発に携わったという「K2キット」を紹介した。
冒頭の2名の講演は、あらためてインプラント周囲組織に対するプロービングの重要性を実感させるものとなった。インプラントと骨のオッセオインテグレーションを破壊するとして、以前は禁忌と考えられた時期もあるが、スカンジナビアを中心にいまは逆にインプラント周囲組織に対するプロービングは、インプラント周囲病変の診査・診断には不可欠との考えが主流であることが強調された。